子育て困難を支援する“愛着障害の診断法と治療薬”の開発 ~発達障害や愛着障害の脳科学的研究
「1. はじめに」 子どもの健やかな成長と発達を願う想いはどの親も共通である. 乳幼児期に家族の愛情に基づく情緒的な絆(アタッチメント)が形成され, 安心感や信頼感の中で興味・関心が拡がり, 認知や情緒が発達する. しかし, 児童虐待・ネグレクトによって高頻度に発症する愛着障害(DSM5: 反応性アタッチメント障害)は, 多動性行動障害, 解離性障害, 大うつ病性障害, 境界性人格障害などの重篤な精神疾患へ推移する. そのため, 小児期に被虐待・ネグレクト経験のある青少年たちの社会適応困難が深刻化している. 「2. 様々な虐待経験がこころや脳へ及ぼす影響」 児童虐待には殴る, 蹴るといった身体...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 136; no. 5; pp. 711 - 714 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
2016
日本薬学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.15-00262-5 |
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Summary: | 「1. はじめに」 子どもの健やかな成長と発達を願う想いはどの親も共通である. 乳幼児期に家族の愛情に基づく情緒的な絆(アタッチメント)が形成され, 安心感や信頼感の中で興味・関心が拡がり, 認知や情緒が発達する. しかし, 児童虐待・ネグレクトによって高頻度に発症する愛着障害(DSM5: 反応性アタッチメント障害)は, 多動性行動障害, 解離性障害, 大うつ病性障害, 境界性人格障害などの重篤な精神疾患へ推移する. そのため, 小児期に被虐待・ネグレクト経験のある青少年たちの社会適応困難が深刻化している. 「2. 様々な虐待経験がこころや脳へ及ぼす影響」 児童虐待には殴る, 蹴るといった身体的虐待, 性的な接触をしたり, 性行為やポルノ写真・映像にさらす性的虐待, 不適切な養育環境や食事を与えないなどのネグレクト, 暴言による虐待, 子どもの目の前で家族に暴力をふるうなど家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス; DV)を目撃させる行為など心理的虐待が含まれる. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.15-00262-5 |