市販後副作用報告データ解析の実例

「1. 緒言」臨床現場での薬剤効果の評価には薬剤疫学研究が不可欠である. 市販後調査などの観察研究はレギュラトリーサイエンスの重要な領域を担っている. 市販後の医薬品の使用は複雑であり, 臨床試験とは異なり患者の背景因子が多様である. また, 医薬品の有害事象は発生頻度が低いものが多く, 時間を経過して生じる有害事象もある. 近年, 大規模有害事象自発報告データベース (spontaneous reporting system ; SRS) の報告数は増加しており, レギュラトリーサイエンスのための重要な情報源となっている. SRSにより臨床試験では見い出されなかった未知の有害事象の検出, 特...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 136; no. 4; pp. 549 - 556
Main Author 中村, 光浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.04.2016
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.15-00224-5

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Summary:「1. 緒言」臨床現場での薬剤効果の評価には薬剤疫学研究が不可欠である. 市販後調査などの観察研究はレギュラトリーサイエンスの重要な領域を担っている. 市販後の医薬品の使用は複雑であり, 臨床試験とは異なり患者の背景因子が多様である. また, 医薬品の有害事象は発生頻度が低いものが多く, 時間を経過して生じる有害事象もある. 近年, 大規模有害事象自発報告データベース (spontaneous reporting system ; SRS) の報告数は増加しており, レギュラトリーサイエンスのための重要な情報源となっている. SRSにより臨床試験では見い出されなかった未知の有害事象の検出, 特定集団での安全性評価, 実際の臨床での使用実態を反映した安全性評価等が可能となる. 米国あるいは日本等の規制当局が公開している臨床現場で長期に収集された症例が集積したSRSは, 医薬品安全性評価を中心とする疫学研究において大きな役割を果たしてきた.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.15-00224-5