ドナー臓器の利用拡大に向けた臓器保存・蘇生技術の開発

「臓器移植治療の現状と課題」さまざまな疾患によって臓器が機能不全に陥いると, その臓器の移植治療が行われている. ヒトにおける肝臓臓器移植は1963年のスターツルによる肝移植に始まり, これまで数多くの移植治療が行われてきた. 臓器移植の成功率は, 免疫抑制剤の開発や医療技術の進展により飛躍的に向上し, 現在では内科的治療が困難な疾患に対する有効な治療法としても確立している. 脳死患者からの臓器提供は, 心停止患者からの臓器提供と異なり, 臓器が摘出される直前まで臓器内への血流が確保されているため, 移植臓器の障害が少なく, 高い生着率と生存率の達成が可能である. 一方, 国内における脳死下の...

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Published inOrgan Biology Vol. 24; no. 1; pp. 21 - 28
Main Authors 小林, 英司, 吉本, 周平, 虎井, 真司, 石川, 潤, 辻, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臓器保存生物医学会 2017
日本臓器保存生物医学会
The Japan Society for Organ Preservation and Biology
Subjects
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ISSN1340-5152
2188-0204
DOI10.11378/organbio.24.21

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Summary:「臓器移植治療の現状と課題」さまざまな疾患によって臓器が機能不全に陥いると, その臓器の移植治療が行われている. ヒトにおける肝臓臓器移植は1963年のスターツルによる肝移植に始まり, これまで数多くの移植治療が行われてきた. 臓器移植の成功率は, 免疫抑制剤の開発や医療技術の進展により飛躍的に向上し, 現在では内科的治療が困難な疾患に対する有効な治療法としても確立している. 脳死患者からの臓器提供は, 心停止患者からの臓器提供と異なり, 臓器が摘出される直前まで臓器内への血流が確保されているため, 移植臓器の障害が少なく, 高い生着率と生存率の達成が可能である. 一方, 国内における脳死下の臓器提供者数は低く, 臓器移植の実施数は, 法案改正後も伸び悩んでいる. しかし, 臓器提供を希望する患者数は増加しており, 世界的に見ても臓器提供数が圧倒的に不足しているのが現状であるため, 脳死ドナー利用以外のドナープール拡大が望まれている.
ISSN:1340-5152
2188-0204
DOI:10.11378/organbio.24.21