酸化ストレス産物アクロレインの見過ごされていた反応性:インビボ検出から酸化ストレスへの寄与,及び生体内制御機構の解明へ

「はじめに」アクロレインは, 喫煙や有機物の燃焼時に発生するだけでなく, がんやアルツハイマー, 脳梗塞など酸化ストレスが原因の疾患においても, 脂質などの代謝産物として生産される. 筆者らは, アクロレインが起こすいくつかの異常な有機反応を発見し, 生体内で発生するアクロレインを初めて直接検出することに成功した. さらに酸化ストレス条件下で機能する真の「活性分子群」について明らかにしたので紹介する. 「酸化ストレスで発生する毒性物質アクロレイン」アクロレインは, 喫煙(タバコの煙)や有機物の燃焼時に発生する. 不飽和アルデヒド分子の中で最もサイズが小さく, 非常に反応性が高い毒性分子である....

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 137; no. 3; pp. 301 - 306
Main Author 田中, 克典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.03.2017
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.16-00231-3

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Summary:「はじめに」アクロレインは, 喫煙や有機物の燃焼時に発生するだけでなく, がんやアルツハイマー, 脳梗塞など酸化ストレスが原因の疾患においても, 脂質などの代謝産物として生産される. 筆者らは, アクロレインが起こすいくつかの異常な有機反応を発見し, 生体内で発生するアクロレインを初めて直接検出することに成功した. さらに酸化ストレス条件下で機能する真の「活性分子群」について明らかにしたので紹介する. 「酸化ストレスで発生する毒性物質アクロレイン」アクロレインは, 喫煙(タバコの煙)や有機物の燃焼時に発生する. 不飽和アルデヒド分子の中で最もサイズが小さく, 非常に反応性が高い毒性分子である. 様々な生体内の求核性分子と速やかに反応し細胞にダメージを与えることが知られている. また, がんやアルツハイマー, 脳梗塞など, 酸化ストレスを原因とする疾患においても, 脂質やポリアミン(タンパク質合成や細胞分裂に関与する因子)の代謝産物としてアクロレインが過剰に発生し, さらに酸化ストレスを亢進させると考えられている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.16-00231-3