佐伯論文に対するEditorial Comment

冠動脈内ステント植え込み術が登場して以来, その臨床的有用性が明らかとなりほとんどの経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)適応例で用いられるようになった. この背景として, 当初は金属ステント植え込みに伴う亜急性ステント血栓症が大きな問題であったが, アスピリンとクロピドグレルの2剤併用抗血小板療法により, その頻度は激減したことがあげられる. 一方, 近年では薬剤溶出性ステント(drug eluting stent;DES)の普及により, 晩期ステント血栓症が新たな問題として重要視されている. これらステント血栓症の要因...

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Published inShinzo Vol. 44; no. 9; pp. 1149 - 1150
Main Authors 上野, 雅史, 宮崎, 俊一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.09.2012
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.1149

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Summary:冠動脈内ステント植え込み術が登場して以来, その臨床的有用性が明らかとなりほとんどの経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)適応例で用いられるようになった. この背景として, 当初は金属ステント植え込みに伴う亜急性ステント血栓症が大きな問題であったが, アスピリンとクロピドグレルの2剤併用抗血小板療法により, その頻度は激減したことがあげられる. 一方, 近年では薬剤溶出性ステント(drug eluting stent;DES)の普及により, 晩期ステント血栓症が新たな問題として重要視されている. これらステント血栓症の要因に関して, これまでの報告ではステントタイプ, 病変性状, 患者背景因子, 手技の問題, 抗血小板薬の効果など多数の因子が関与することが知られている. 中でもクロピドグレルに対する抗血小板効果には顕著な個体間変動がみられ, そのことが臨床転帰に影響を及ぼすことが明らかとなっている.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1149