本邦初のGemella sanguinisによる感染性心内膜炎の1例

本邦ではまだ報告がないGemella sanguinisによる感染性心内膜炎(infective endocarditis; IE)を経験した。症例は57歳,女性。2012年5月上旬より発熱を繰り返し,労作時に呼吸苦と動悸を認めたため精査加療目的で当院循環器内科に入院となった。入院時の血液培養から検出された菌は,市販の生化学的同定キットでGemella haemolysansと同定されたが,mannitol,sorbitol,alanyl phenylalanine proline arylamidase等の生化学的性状に非典型的反応を認めた。16S rRNA塩基配列解析と質量分析装置による同...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 64; no. 4; pp. 433 - 440
Main Authors 竹村, 弘, 黒沢, 未希, 高木, 妙子, 山﨑, 哲, 大栁, 忠智, 積田, 奈津希, 國島, 広之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2015
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.14-104

Cover

More Information
Summary:本邦ではまだ報告がないGemella sanguinisによる感染性心内膜炎(infective endocarditis; IE)を経験した。症例は57歳,女性。2012年5月上旬より発熱を繰り返し,労作時に呼吸苦と動悸を認めたため精査加療目的で当院循環器内科に入院となった。入院時の血液培養から検出された菌は,市販の生化学的同定キットでGemella haemolysansと同定されたが,mannitol,sorbitol,alanyl phenylalanine proline arylamidase等の生化学的性状に非典型的反応を認めた。16S rRNA塩基配列解析と質量分析装置による同定検査を行ったところ,G. sanguinisと同定された。その後の外科手術にて採取した大動脈弁の疣贅からも同一菌の遺伝子が検出されたため,本菌によるIEと診断された。抗菌薬は入院時よりpenicillin G,gentamycinが投与され,弁置換術施行により症状の改善が認められた。G. sanguinisによるIEに関する報告は,海外で数例あるものの本邦での報告はない。症例によって遺伝子解析,質量分析装置による同定も考慮する必要がある。また,一部の薬剤に耐性を示す報告があるため,薬剤感受性検査を行うことも重要であると考える。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.14-104