関論文に対するEditorial Comment

関らは再入院を繰り返す高齢者心不全に対するトルバプタンの使用経験をまとめ, その有用性を明らかにした. すなわち, ほかの利尿薬で体液貯留のコントロールが不十分であった心不全に対して, 比較的低用量のトルバプタンが, 血圧, 腎機能に悪影響を与えず, 確実な尿量確保と血行動態の改善をもたらしたことを示した. 本論文から, トルバプタンの使用方法に関する知見をまとめると以下の点があげられる. (1)高齢者心不全に対して経口薬でコントロールする患者にやさしい治療法であること. (2)トルバプタンがNa排泄型利尿薬でコントロール不十分である場合の貴重な選択肢であること. (3)血行動態・腎機能に影響...

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Published inShinzo Vol. 45; no. 3; p. 268
Main Author 佐藤, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2013
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.45.268

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Summary:関らは再入院を繰り返す高齢者心不全に対するトルバプタンの使用経験をまとめ, その有用性を明らかにした. すなわち, ほかの利尿薬で体液貯留のコントロールが不十分であった心不全に対して, 比較的低用量のトルバプタンが, 血圧, 腎機能に悪影響を与えず, 確実な尿量確保と血行動態の改善をもたらしたことを示した. 本論文から, トルバプタンの使用方法に関する知見をまとめると以下の点があげられる. (1)高齢者心不全に対して経口薬でコントロールする患者にやさしい治療法であること. (2)トルバプタンがNa排泄型利尿薬でコントロール不十分である場合の貴重な選択肢であること. (3)血行動態・腎機能に影響を与えない治療法であること. (4)比較的低用量で尿量の増加が期待できること. (5)比較的低用量でも左室拡張末期圧・肺動脈圧を低下させること. 特に(1)については, 高齢者心不全治療を特別なカテゴリーとして今後考えていかなければいけないと考えている筆者からすると, 非常に重要なポイントである.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.268