全自動血液検査装置の異常パターンを契機に血液塗抹標本の鏡検で診断が導かれた形質細胞白血病

形質細胞白血病は形質細胞腫の一病型であり,末梢血中に多数の形質細胞が出現する稀な疾患である。形質細胞白血病は進行が早く,予後不良であるため,早期発見・早期の診断が重要である。今回,白血球分類の異常パターンを契機に,血液塗抹標本の鏡検を行い,迅速な形質細胞白血病の診断につながった症例を経験した。症例は75歳男性。急性腎不全,急性心不全が疑われ当院に搬送された。初診時に全自動血液検査装置による白血球分類結果が異常パターンを示したため,末梢血液塗抹標本を作製し鏡検したところ,形質細胞の特徴を示す異常細胞を42%認めた。形質細胞腫瘍が疑われたことから直ちに診療科へ報告したところ,当日中に骨髄穿刺等が施...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 66; no. 6; pp. 715 - 720
Main Authors 久冨木, 庸子, 岡山, 昭彦, 盛口, 淸香, 梅木, 一美, 山本, 成郎, 梅北, 佳子, 橋倉, 悠輝, 今井, 美里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.11.2017
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
Subjects
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.17-65

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Summary:形質細胞白血病は形質細胞腫の一病型であり,末梢血中に多数の形質細胞が出現する稀な疾患である。形質細胞白血病は進行が早く,予後不良であるため,早期発見・早期の診断が重要である。今回,白血球分類の異常パターンを契機に,血液塗抹標本の鏡検を行い,迅速な形質細胞白血病の診断につながった症例を経験した。症例は75歳男性。急性腎不全,急性心不全が疑われ当院に搬送された。初診時に全自動血液検査装置による白血球分類結果が異常パターンを示したため,末梢血液塗抹標本を作製し鏡検したところ,形質細胞の特徴を示す異常細胞を42%認めた。形質細胞腫瘍が疑われたことから直ちに診療科へ報告したところ,当日中に骨髄穿刺等が施行され,骨髄腫細胞の診断に至った。その後の追加検査においても蛋白分画でMピークを認め,BJ蛋白が認められるなど,形質細胞白血病を示唆する所見があり,化学療法が開始された。日常検査において,全自動血液検査装置による白血球分類の異常パターンを認める場合には,速やかに塗抹標本を鏡検する重要性を改めて認識させられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.17-65