経胸壁心臓超音波検査法を用いた連続心不全症例での非侵襲的推定肺動脈圧に基づく心不全重症度とBNP濃度の比較検討

心不全の重症度評価は,従来右心カテーテル検査法により行われているが,非観血的に肺動脈圧をはじめとする血行動態評価が行える経胸壁心臓超音波検査(TTE)法は,心不全診療の主流となりつつある。一方,BNPは心不全診療を支える客観的な心不全バイオマーカーとして広く普及している。本研究は,TTEより得られる推定肺動脈圧(PASP, PADP)を含む各種パラメーターと,BNP濃度を比較検討することにより,心不全重症度評価におけるBNPの有用性を検討することである。研究対象はTTEとBNP採血が同日に実施できた連続476症例とした。BNP濃度を中央値で分けBNP categoryを従属変数とし,TTEで得...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 65; no. 1; pp. 38 - 44
Main Authors 西川, 伸一, 薗田, 明広, 坂本, 裕樹, 内藤, 真希, 坂口, 元一, 平松, 直樹, 島田, 俊夫, 鈴木, 駿輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.01.2016
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.15-37

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Summary:心不全の重症度評価は,従来右心カテーテル検査法により行われているが,非観血的に肺動脈圧をはじめとする血行動態評価が行える経胸壁心臓超音波検査(TTE)法は,心不全診療の主流となりつつある。一方,BNPは心不全診療を支える客観的な心不全バイオマーカーとして広く普及している。本研究は,TTEより得られる推定肺動脈圧(PASP, PADP)を含む各種パラメーターと,BNP濃度を比較検討することにより,心不全重症度評価におけるBNPの有用性を検討することである。研究対象はTTEとBNP採血が同日に実施できた連続476症例とした。BNP濃度を中央値で分けBNP categoryを従属変数とし,TTEで得られた各種パラメーターを独立因子として多変量ロジスティック回帰分析を行い有意な変数を抽出した。有意な因子を四分位数による重症度で分類し,一元配置分散分析(ANOVA)にて各群間におけるBNP濃度を比較検討した。有意な因子として,年齢,BMI,シスタチンC,E/A,E/e’,PASP,LVMIが抽出された。ANOVAの結果は,年齢,シスタチンC,E/A,E/e’,PASP,LVMIではコントロール群(Category I)に比べて各因子のレベルおよび重症度が上がるに従い,BNP濃度も有意に高値を示した。BMIではレベルが上がるに従い,BNP濃度は有意に低値を示した。BNPは心不全の客観的重症度を正確に反映するPASPによる心不全の重症度と密接な関連が認められることから,心不全の重症度評価と治療評価のモニターとして使用できる優れた心不全マーカーであると結論する。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.15-37