嘔吐を契機に失神をきたした, 発作性房室ブロックの1例

症例は69歳女性. 数年前から時々嘔吐に伴う一過性意識消失発作を起こしており, 他院で入院精査を受けているが原因不明であった. 2011年某日の昼過ぎから嘔気・嘔吐と一過性意識消失が出現したため当院救急搬送. 入院後の心電図モニタおよびホルター心電図にて嘔吐に伴ってWenckebach型第Ⅱ度房室ブロックから発作性房室ブロックがみられ, この際一過性意識消失を生じた. 嘔吐の原因精査のため施行した上部消化管内視鏡の際に食道拡張試験を行ったところ, 再現性をもってWenckebach型第Ⅱ度房室ブロックが誘発された. 心臓電気生理学的検査で器質的伝導異常は認めず, 食道圧受容体の感受性亢進による...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 7; pp. 822 - 826
Main Authors 中川, 和也, 菅原, 知沙, 清水, 琢也, 田丸, 洵, 浅川, 哲也, 松村, 国佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.822

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Summary:症例は69歳女性. 数年前から時々嘔吐に伴う一過性意識消失発作を起こしており, 他院で入院精査を受けているが原因不明であった. 2011年某日の昼過ぎから嘔気・嘔吐と一過性意識消失が出現したため当院救急搬送. 入院後の心電図モニタおよびホルター心電図にて嘔吐に伴ってWenckebach型第Ⅱ度房室ブロックから発作性房室ブロックがみられ, この際一過性意識消失を生じた. 嘔吐の原因精査のため施行した上部消化管内視鏡の際に食道拡張試験を行ったところ, 再現性をもってWenckebach型第Ⅱ度房室ブロックが誘発された. 心臓電気生理学的検査で器質的伝導異常は認めず, 食道圧受容体の感受性亢進による発作性房室ブロックと診断し, 永久ペースメーカ植込み術を施行した. ペースメーカ治療後は, 現在に至るまで嘔吐時の意識消失は認められていない. 嘔吐刺激により発作性房室ブロックを呈する稀な例を経験したため報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.822