線溶亢進型DICを合併したAML-cuplikeの1例

症例は30歳代,女性。咽頭痛,発熱のため近医を受診したところ,白血球増多,貧血,血小板減少を認め,急性白血病疑いで当院紹介受診となった。入院時の白血球数は40.7 × 109/Lと増加し,芽球細胞を96.6%認めた。末梢血中のcuplike芽球比率は,11.2%であった。凝固線溶検査では,FDP > 150 μg/mL,D-dimer > 150 μg/mL,SFMC 52.4 μg/mL,TAT 58.9 ‍ng/‍mL,PIC 17.2 μg/mLであり,線溶亢進型DICの所見を呈していた。骨髄血塗抹標本では芽球細胞が大部分(97.8%)を占めていたが,cuplike芽球比率は...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 66; no. 6; pp. 721 - 725
Main Authors 淺沼, 康一, 髙橋, 聡, 柳原, 希美, 山田, 暁, 盛合, 亮介, 望月, 真希, 遠藤, 明美, 近藤, 崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.11.2017
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.17-69

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Summary:症例は30歳代,女性。咽頭痛,発熱のため近医を受診したところ,白血球増多,貧血,血小板減少を認め,急性白血病疑いで当院紹介受診となった。入院時の白血球数は40.7 × 109/Lと増加し,芽球細胞を96.6%認めた。末梢血中のcuplike芽球比率は,11.2%であった。凝固線溶検査では,FDP > 150 μg/mL,D-dimer > 150 μg/mL,SFMC 52.4 μg/mL,TAT 58.9 ‍ng/‍mL,PIC 17.2 μg/mLであり,線溶亢進型DICの所見を呈していた。骨髄血塗抹標本では芽球細胞が大部分(97.8%)を占めていたが,cuplike芽球比率は1.6%とほとんど見られなかった。芽球細胞の細胞表面抗原解析では,CD13,CD33,MPOが陽性,CD34,HLA-DRは陰性であった。さらに,染色体分析では正常核型で,FLT3-ITDが検出された。以上の結果より,AML-cuplikeと診断された。本症例では骨髄血でのcuplike芽球比率が非常に少なく,AML-cuplikeを診断するには骨髄血塗抹標本だけでなく,末梢血塗抹標本観察を行うことが重要であった。また,AML-cuplikeはDIC合併など凝固線溶動態について十分な解析がなされていないため,症例の蓄積が必要と思われる。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.17-69