薬剤溶出性ステント留置後ステント近位端に再狭窄を繰り返した1例

症例は47歳男性.2012年8月に急性心筋梗塞にて当院で心臓カテーテル検査を施行した.冠動脈造影では,左前下行枝(left anterior descending coronary artery;LAD)#7に完全閉塞を認めた.同部位に対して経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)を施行し,薬剤溶出性ステント(drug eluting stent;DES)を留置した.11カ月後に確認造影検査を施行したところ,#7ステント近位端からLAD起始部にかけて90%狭窄を認めたことからPCIを施行した.血管内超音波(intravasc...

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Published inShinzo Vol. 49; no. 6; pp. 564 - 571
Main Authors 阪本, 貴之, 竹石, 恭知, 中里, 和彦, 渡部, 研一, 大和田, 尊之, 横川, 沙代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.06.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.564

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Summary:症例は47歳男性.2012年8月に急性心筋梗塞にて当院で心臓カテーテル検査を施行した.冠動脈造影では,左前下行枝(left anterior descending coronary artery;LAD)#7に完全閉塞を認めた.同部位に対して経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)を施行し,薬剤溶出性ステント(drug eluting stent;DES)を留置した.11カ月後に確認造影検査を施行したところ,#7ステント近位端からLAD起始部にかけて90%狭窄を認めたことからPCIを施行した.血管内超音波(intravascular ultrasound;IVUS)で観察したところステント近位端からLAD近位部にかけてプラークの増殖を認めたため,前回留置したステント近位端にオーバーラップさせる形で左主幹部(left main coronary trunk;LMT)中間部までDESを留置した.LMTはIVUS上びまん性にプラークがみられたが血管内腔は保たれていたためLMT入口部までのstentingは行わなかった.最後にLADと左回旋枝にkissing balloon inflationを施行し終了とした.3カ月後に虚血性心不全にて当院に救急搬送され,緊急冠動脈造影を施行した.LMTのステント近位端からLMT入口部にかけて90%狭窄を認めた.同部位に対しPCIを施行し,LMT入口部までDESを留置し終了とした.本症例では,LADのステント近位端にステント再狭窄を2度繰り返し,最終的にはLMT入口部におよぶPCIが必要となった.DESの登場によりステント再狭窄は大幅に減少したが,依然再狭窄は大きな問題である.今回のステント再狭窄の原因とその対処法について考察する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.564