心室ペースメーカリードが著明な三尖弁閉鎖不全症に関与した僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症の1手術例

症例は74歳女性. 27年前に徐脈性心房細動に対し, VVIペースメーカを留置された. 17年前に心室リードの機能不全のため, 追加の心室リード留置およびジェネレータ交換が施行された. 最近になり呼吸苦と全身倦怠感が出現し, 心エコー検査にてⅣ度の三尖弁閉鎖不全症 (TR) と僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症を認めたため, 加療目的に当院へ転院となった. 人工心肺使用心停止下に三尖弁を観察すると, 2本の心室リードのうち古いリードが中隔尖, 後尖および腱索と癒着して一塊となり, 両弁尖の可動性を著しく妨げていた. このリードを心内で抜去したが, 上大静脈 (SVC) 内の癒着によりリード全体の抜去が困難...

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Published inShinzo Vol. 48; no. 4; pp. 434 - 439
Main Authors 中村, 拓甫, 川越, 久志, 大友, 教暁, 山崎, 毅, 伊東, 和雄, 鈴木, 伸章, 福井, 康三, 本間, 健一郎, 谷, 建吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2016
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.434

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Summary:症例は74歳女性. 27年前に徐脈性心房細動に対し, VVIペースメーカを留置された. 17年前に心室リードの機能不全のため, 追加の心室リード留置およびジェネレータ交換が施行された. 最近になり呼吸苦と全身倦怠感が出現し, 心エコー検査にてⅣ度の三尖弁閉鎖不全症 (TR) と僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症を認めたため, 加療目的に当院へ転院となった. 人工心肺使用心停止下に三尖弁を観察すると, 2本の心室リードのうち古いリードが中隔尖, 後尖および腱索と癒着して一塊となり, 両弁尖の可動性を著しく妨げていた. このリードを心内で抜去したが, 上大静脈 (SVC) 内の癒着によりリード全体の抜去が困難なためSVCの近くで切断し, 断端を被覆しておいた. 続いて僧帽弁置換術 (MVR) および三尖弁置換術 (TVR) を施行した. 使用しているリードは心内での癒着はみられず温存した. TVRに際しこのリードを人工弁の外側を通るように, 三尖弁の前尖と中隔尖の交連部に縫合固定した. 心室リードが留置されている症例では, 定期的な心エコー検査でTRの有無についてフォローを行い, TRとともに右心不全症状を呈する場合, リードとの関係を明らかにし, 症例に応じた治療方針を検討することが重要である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.434