ヘパリンアレルギー疑いの透析患者に対しアルガトロバンによる抗凝固療法下に心拍動下冠動脈バイパス術を施行し術中静脈グラフト血栓症をきたした1例

症例は55歳の男性で,間歇性跛行を主訴に入院.既往症に糖尿病,脳梗塞.糖尿病性腎症で透析導入となった.ヘパリンによる皮疹の既往があり,アルガトロバンによる抗凝固療法下に,下肢動脈の経皮的血管形成術および経皮的冠動脈インターべンション(PCI)を施行した.PCIの再評価でステント内再狭窄を含む冠動脈3枝病変を認め,当科に紹介された.術中の抗凝固療法は,圧モニターラインにメシル酸ナファモスタットを使用し,グラフト血栓予防目的でアルガトロバンを持続投与し,活性化凝固時間を250秒以上で管理した.心拍動下に左内胸動脈を前下行枝に,静脈グラフトを後側壁枝および鈍縁枝にバイパスした.静脈グラフトの中枢側吻...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 49; no. 4; pp. 384 - 389
Main Authors 大野, 英昭, 新浪, 博士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.384

Cover

More Information
Summary:症例は55歳の男性で,間歇性跛行を主訴に入院.既往症に糖尿病,脳梗塞.糖尿病性腎症で透析導入となった.ヘパリンによる皮疹の既往があり,アルガトロバンによる抗凝固療法下に,下肢動脈の経皮的血管形成術および経皮的冠動脈インターべンション(PCI)を施行した.PCIの再評価でステント内再狭窄を含む冠動脈3枝病変を認め,当科に紹介された.術中の抗凝固療法は,圧モニターラインにメシル酸ナファモスタットを使用し,グラフト血栓予防目的でアルガトロバンを持続投与し,活性化凝固時間を250秒以上で管理した.心拍動下に左内胸動脈を前下行枝に,静脈グラフトを後側壁枝および鈍縁枝にバイパスした.静脈グラフトの中枢側吻合に血管縫合補助具(ハートストリング®)を用いた.静脈グラフトの中枢側吻合後,フローメーターで順行性の血流に乏しくグラフト内の血栓形成が疑われた.静脈グラフトを切開し,ひも状の赤色血栓を除去した.手術直後から抗凝固療法を行い,CTでグラフトの開存を確認した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.384