左室緻密化障害様の肉柱構造を呈したが, 経過中に退縮を認めた心アミロイドーシスの1例

症例は55歳女性. 既往歴に関節リウマチおよび慢性腎不全があり, 維持透析中であった. 2014年4月初旬, 心窩部痛・食欲不振を自覚し前医受診, 低左心機能を指摘され, 精査目的にて当院入院となった. 来院時の12誘導心電図で広範囲のST低下, 経胸壁心エコーでは全周性の壁運動低下 (左室駆出率=21%) と, 左室心尖部を中心とする肉柱構造を認め, 左室造影では, 左室内面の肉柱形成と深い陥凹を認めた. 以上の所見から, 左室緻密化障害が疑われたが, 心内膜心筋生検にて心筋細胞間にアミロイド沈着を認め, AA心アミロイドーシスと診断した. 関節リウマチに対してはプレドニゾロン継続とし, 心...

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Published inShinzo Vol. 48; no. 4; pp. 416 - 424
Main Authors 山本, 和彦, 川本, 健治, 片山, 祐介, 谷本, 匡史, 田中屋, 真智子, 三木, 崇史, 市川, 啓之, 山田, 桂嗣, 大塚, 寛昭, 櫻木, 悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2016
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.48.416

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Summary:症例は55歳女性. 既往歴に関節リウマチおよび慢性腎不全があり, 維持透析中であった. 2014年4月初旬, 心窩部痛・食欲不振を自覚し前医受診, 低左心機能を指摘され, 精査目的にて当院入院となった. 来院時の12誘導心電図で広範囲のST低下, 経胸壁心エコーでは全周性の壁運動低下 (左室駆出率=21%) と, 左室心尖部を中心とする肉柱構造を認め, 左室造影では, 左室内面の肉柱形成と深い陥凹を認めた. 以上の所見から, 左室緻密化障害が疑われたが, 心内膜心筋生検にて心筋細胞間にアミロイド沈着を認め, AA心アミロイドーシスと診断した. 関節リウマチに対してはプレドニゾロン継続とし, 心保護目的にβ遮断薬およびアンジオテンシン変換酵素阻害薬を開始した. 退院3カ月後の心エコーでは, 左室収縮能の改善とともに, 肉柱構造の著明な退縮を認めた. 本症例は, AA型心アミロイドーシスによる二次的な変化として, 左室緻密化障害の所見が出現していたと考えられた. 左室緻密化障害が疑われたが, 心アミロイドーシスの組織型を示し, さらに経過中に肉柱構造の退縮を認めた1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.48.416