周産期心筋症によるうっ血性心不全に対しブロモクリプチンが著効した1例
症例は35歳女性. 出産2週間前に高血圧症を指摘されたが経過観察されていた. 出産後咳嗽や喀痰を認め, 徐々に増悪し, 産後3カ月目には安静時呼吸困難とそれに伴う不眠を認めるようになった. 近医受診したところ著明な心機能低下を認め, 周産期心筋症による心不全が疑われたため当院紹介, 緊急入院となった. 慢性心不全に対する標準治療に加え, 第11病日よりブロモクリプチンの内服を開始したところ, 急速に改善を認め退院となった. 入院時の左室駆出率は19.4%であったが, 3カ月後には63%と正常化した. 周産期心筋症の原因として16kDaプロラクチンの関与が指摘されており, それが微小血管障害と心...
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Published in | Shinzo Vol. 47; no. 3; pp. 382 - 388 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2015
日本心臓財団・日本循環器学会 Japan Heart Foundation |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.47.382 |
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Summary: | 症例は35歳女性. 出産2週間前に高血圧症を指摘されたが経過観察されていた. 出産後咳嗽や喀痰を認め, 徐々に増悪し, 産後3カ月目には安静時呼吸困難とそれに伴う不眠を認めるようになった. 近医受診したところ著明な心機能低下を認め, 周産期心筋症による心不全が疑われたため当院紹介, 緊急入院となった. 慢性心不全に対する標準治療に加え, 第11病日よりブロモクリプチンの内服を開始したところ, 急速に改善を認め退院となった. 入院時の左室駆出率は19.4%であったが, 3カ月後には63%と正常化した. 周産期心筋症の原因として16kDaプロラクチンの関与が指摘されており, それが微小血管障害と心筋細胞の融解を引き起こすといわれている. 抗プロラクチン療法による周産期心筋症への治療効果はこれまでも報告されているが, 抗プロラクチン療法に関する大規模な臨床試験は行われておらず, 今後さらなる研究が必要になると考えられる. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.47.382 |