尾崎論文に対するEditorial Comment—トルバプタンは長期予後を改善するか

本研究は, 新規利尿薬であるトルバプタンを長期使用することで, 入院回数を減らす可能性について論じている. 急性期効果についてはエビデンスが構築されつつある薬剤ではあるが, 長期投与の効果についてはほとんどエビデンスが存在しないため, 非常に貴重な研究と考える. トルバプタンに関しては, 長期の生命予後に対しては否定的な報告もある. 対象を重症心不全としていることから必ずしも生命予後を劇的に改善することは期待し難いかもしれない. そう考えると, 本研究のように入院回数の軽減をエンドポイントに設定したのは得策であろう. 本文でも考察されているが, 単純に再入院の有無をエンドポイントにしてしまうと...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 7; pp. 857 - 858
Main Author 今村, 輝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.857

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Summary:本研究は, 新規利尿薬であるトルバプタンを長期使用することで, 入院回数を減らす可能性について論じている. 急性期効果についてはエビデンスが構築されつつある薬剤ではあるが, 長期投与の効果についてはほとんどエビデンスが存在しないため, 非常に貴重な研究と考える. トルバプタンに関しては, 長期の生命予後に対しては否定的な報告もある. 対象を重症心不全としていることから必ずしも生命予後を劇的に改善することは期待し難いかもしれない. そう考えると, 本研究のように入院回数の軽減をエンドポイントに設定したのは得策であろう. 本文でも考察されているが, 単純に再入院の有無をエンドポイントにしてしまうと, おそらく大部分の症例が再入院は回避できないと予測される.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.857