失神の診断と鑑別

「はじめに」失神は一般的かつ重要な症状ですが, 関わる科が多岐にわたるため, 系統立てた診断が難しい症状でもあります. 失神は急激に生じて, 持続が短く, 診察時には完全に回復するため診断を付けづらく, 原因不明とされる症例が20-40%にも及びます. しかし, 失神の予後は原因によっては突然死にも繋がるために明らかにしなければなりません. 1990年代に失神の診断に大きなエポックメーキングな診断法としてチルト試験が導入されました. 以後, 失神に対する神経反射の関与の重要性が報告されてきました. しかし, わが国では早くからチルト試験の重要性が叫ばれてきたものの, 保険収載が2012年ときわ...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 4; pp. 511 - 515
Main Author 小林, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.511

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Summary:「はじめに」失神は一般的かつ重要な症状ですが, 関わる科が多岐にわたるため, 系統立てた診断が難しい症状でもあります. 失神は急激に生じて, 持続が短く, 診察時には完全に回復するため診断を付けづらく, 原因不明とされる症例が20-40%にも及びます. しかし, 失神の予後は原因によっては突然死にも繋がるために明らかにしなければなりません. 1990年代に失神の診断に大きなエポックメーキングな診断法としてチルト試験が導入されました. 以後, 失神に対する神経反射の関与の重要性が報告されてきました. しかし, わが国では早くからチルト試験の重要性が叫ばれてきたものの, 保険収載が2012年ときわめて遅くなってしまったことにより十分に普及されていないのが現状です. それに加え, ようやく2009年から植え込み型ループレコーダー(ILR)が保険収載されたことにより, 予後不良の心原性失神の診断率の向上が望めるようになってきました.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.511