臨床応用に向けた単球-血小板凝集解析法の検討

血小板活性化マーカーとして知られるP-セレクチンやPAC-1は,特殊な抗体が必要で,臨床応用されるには問題点が多い。一方,単球-血小板凝集解析は特殊な抗体が不要であり,かつ感度が高いことが報告されている。そこで今回我々は,単球-血小板凝集解析法に注目し,臨床応用に向けた検討を行った。対象者(19~32歳)のクエン酸Na血およびEDTA-2K血の単球-血小板凝集%(mono-PLT%)の経時変化について調べた。また,臨床検体(40~74歳,EDTA-2K血)は,LDL,TG,血糖値の3項目が正常範囲であった検体(正常値群)と異常値であった検体(異常値群)のmono-PLT%を検討した。クエン酸N...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 65; no. 4; pp. 399 - 407
Main Authors 山口, 航, 土居, 愛祐美, 今井, 正, 宮川, 朱美, 眞鍋, 紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2016
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
Subjects
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.15-77

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Summary:血小板活性化マーカーとして知られるP-セレクチンやPAC-1は,特殊な抗体が必要で,臨床応用されるには問題点が多い。一方,単球-血小板凝集解析は特殊な抗体が不要であり,かつ感度が高いことが報告されている。そこで今回我々は,単球-血小板凝集解析法に注目し,臨床応用に向けた検討を行った。対象者(19~32歳)のクエン酸Na血およびEDTA-2K血の単球-血小板凝集%(mono-PLT%)の経時変化について調べた。また,臨床検体(40~74歳,EDTA-2K血)は,LDL,TG,血糖値の3項目が正常範囲であった検体(正常値群)と異常値であった検体(異常値群)のmono-PLT%を検討した。クエン酸Na血を用いた解析では,継時的にmono-PLT%が高くなったのに対して,EDTA-2K血では,長時間安定していた。対象者のEDTA-2K血におけるmono-PLT%の平均値±SDは,34.0 ± 12.7%であった。また,臨床検体における検討では,正常値群は,29.5 ± 12.7%,異常値群では,42.1 ± 19.5%であり,両群に有意な差を認めた(p < 0.05)。抗凝固剤にEDTA-2Kを用いた単球-血小板凝集解析法は,特殊な抗体が不要,かつ安価であること,採血後長時間安定していること,さらに血液一般検査の残余検体の使用も可能なことから,臨床において有用な血小板活性化マーカーになりうると考えられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.15-77