合併症を有する急性B型解離に対するTEVARで血小板減少に難渋した1例

症例は81歳男性.遠位弓部大動脈瘤を伴う急性B型大動脈解離に対し保存的加療中に両下肢の麻痺が出現,CT上偽腔血流の増加と大動脈径の拡大,腹腔動脈上で真腔の高度狭窄と血流途絶,上腸間膜動脈と右腎動脈の偽腔起始と左腎の造影遅延を認め,再解離と診断された.瘤内にエントリーを有していたため,初回TEVARは瘤をExclusionするように治療長を長くとらざるを得なかった.院内のデバイスに限りがあったため,接合部のオーバーラップの不足に対してExcluder Aorta Extenderを追加して対応した.術後は血小板減少が遷延し,出血傾向に対して頻回な血小板輸血を要した.造影CTでステントグラフト接合...

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Published inShinzo Vol. 49; no. 4; pp. 360 - 365
Main Authors 西村, 潤一, 不破, 相薫, 齋藤, 文美恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.360

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Summary:症例は81歳男性.遠位弓部大動脈瘤を伴う急性B型大動脈解離に対し保存的加療中に両下肢の麻痺が出現,CT上偽腔血流の増加と大動脈径の拡大,腹腔動脈上で真腔の高度狭窄と血流途絶,上腸間膜動脈と右腎動脈の偽腔起始と左腎の造影遅延を認め,再解離と診断された.瘤内にエントリーを有していたため,初回TEVARは瘤をExclusionするように治療長を長くとらざるを得なかった.院内のデバイスに限りがあったため,接合部のオーバーラップの不足に対してExcluder Aorta Extenderを追加して対応した.術後は血小板減少が遷延し,出血傾向に対して頻回な血小板輸血を要した.造影CTでステントグラフト接合部とリエントリーから偽腔内へ血流を認めた.大動脈径の拡大は認めなかったが,血小板減少の原因と考え,第26病日に以下の追加治療を施行した.①接合部のtype Ⅲエンドリークに対してGore CTAGの追加,②腎動脈の内腔確保に対してステントの留置,③偽腔の閉鎖に対してcandy plugの留置,④リエントリーの閉鎖と腹部大動脈の内腔確保に対してステントグラフトの留置とPETTICOATテクニックを施行した.追加治療後血小板減少は改善され,おおむね満足のいく結果を得た.治療が長期化し多量の血小板輸血を必要としたため,追加治療の時期は検討の余地があったと考える.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.360