Leigh脳症における誘発電位の検討
ミトコンドリア脳筋症はミトコンドリア機能異常により,中枢神経障害や筋力低下,糖尿病など多彩な症状を呈し,臨床症状と検査所見から臨床病型分類がなされる.Leigh脳症はミトコンドリア脳筋症の一つであり,小児神経領域で発症が多いとされている.今回,われわれはLeigh脳症患者において誘発電位と臨床症状の関係性について検討したので報告する.対象は臨床的にLeigh脳症と診断された患者5名.誘発電位は短潜時体性感覚誘発電位,聴性脳幹反応,視覚誘発電位等の測定を行った.臨床症状は,すべての症例で1歳未満から哺乳力障害・眼振等の初発症状が認められ,その後,退行がみられ,臨床症状が悪化した.Leigh脳症患...
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Published in | Japanese Journal of Medical Technology Vol. 63; no. 6; pp. 737 - 744 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
25.11.2014
日本臨床衛生検査技師会 Japanese Association of Medical Technologists |
Subjects | |
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ISSN | 0915-8669 2188-5346 |
DOI | 10.14932/jamt.14-28 |
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Summary: | ミトコンドリア脳筋症はミトコンドリア機能異常により,中枢神経障害や筋力低下,糖尿病など多彩な症状を呈し,臨床症状と検査所見から臨床病型分類がなされる.Leigh脳症はミトコンドリア脳筋症の一つであり,小児神経領域で発症が多いとされている.今回,われわれはLeigh脳症患者において誘発電位と臨床症状の関係性について検討したので報告する.対象は臨床的にLeigh脳症と診断された患者5名.誘発電位は短潜時体性感覚誘発電位,聴性脳幹反応,視覚誘発電位等の測定を行った.臨床症状は,すべての症例で1歳未満から哺乳力障害・眼振等の初発症状が認められ,その後,退行がみられ,臨床症状が悪化した.Leigh脳症患者5例の誘発電位の測定結果と臨床症状を比較検討したところ,Leigh脳症の誘発電位に特異的な異常パターンはなく,各症例により様々な異常が認められた.しかし,SEPにて皮質波N20,N30を認める症例では退行後にも徐々に発達を認める時期があり,比較的病初期の2歳から3歳時に皮質波を認めない症例より臨床症状が良好であった.これは,皮質波N20の起源である一次感覚野,前頭部導出N30の起源とされる基底核もしくは,それ以前の皮質下の神経経路が比較的保たれていることを意味しており,SEPの皮質波N20,N30の有無が,病初期の臨床症状,退行後の症状と関連し,予後予測の参考にできるのではないかと考えられた. |
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ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.14-28 |