バイオリムス溶出性ステント留置後に亜急性ステント血栓症を繰り返した1例

症例は, 70歳男性. 糖尿病に対して加療中であったが, 失神の精査にて非持続性心室頻拍を認め, 左前下行枝#6~#7にびまん性の高度狭窄を認めた. アスピリン100mg, クロピドグレル75mg, ランソプラゾール15mgの投薬を開始し, その5日後に経皮的冠動脈形成術 (percutaneous coronary intervention ; PCI) を行い, 同部位にバイオリムス溶出性ステントを留置した. その3日後に亜急性ステント血栓症を発症し, 血栓吸引とバルーン拡張を行い造影良好となった. その後, ヘパリンと硝酸薬の持続点滴を行っていたが, 4日後に再び亜急性ステント血栓症を発...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 2; pp. 206 - 210
Main Authors 田村, 律, 松田, 守弘, 西山, 浩彦, 市川, 織絵, 冠野, 昂太郎, 川本, 俊治, 瀬川, 貴嗣, 木下, 晴之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.206

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Summary:症例は, 70歳男性. 糖尿病に対して加療中であったが, 失神の精査にて非持続性心室頻拍を認め, 左前下行枝#6~#7にびまん性の高度狭窄を認めた. アスピリン100mg, クロピドグレル75mg, ランソプラゾール15mgの投薬を開始し, その5日後に経皮的冠動脈形成術 (percutaneous coronary intervention ; PCI) を行い, 同部位にバイオリムス溶出性ステントを留置した. その3日後に亜急性ステント血栓症を発症し, 血栓吸引とバルーン拡張を行い造影良好となった. その後, ヘパリンと硝酸薬の持続点滴を行っていたが, 4日後に再び亜急性ステント血栓症を発症し, 再度, 血栓吸引とバルーン拡張を行った. シロスタゾール200mg, 一硝酸イソソルビド40mgの追加をし, ランソプラゾール15mgは中止してファモチジン40mgに変更した. 以後は症状なく, フォローアップの8カ月後のCAGでもステント再狭窄や血栓症は認めなかった. CYP2C19遺伝子型は*1/*2であった. DAPTを継続していたにもかかわらず短期間のうちにステント血栓症を繰り返した要因として, 小さい最小血管内腔面積, 長い病変長, 複数ステントの病変リスク因子に加え, プロトンポンプ阻害薬 (proton pump inhibitor ; PPI) の使用, 糖尿病, CYP2C19遺伝子の多型など複数の因子によりクロピドグレル抵抗性が引き起こされたことが考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.206