繰り返す失神症状を伴う急性肺血栓塞栓症にて発症した膝窩静脈静脈性血管瘤の1例
「はじめに」急性肺血栓塞栓症(acute pulmonary thromboembolism;APE)が突然死の原因となり得ることは広く認知されているものの, その早期診断はときに困難を伴う. 一方, 膝窩静脈の静脈性血管瘤(popliteal venous aneurysm;PVA)はいまだその成因は明らかにされていない稀な疾患で, 致死的なAPEの原因となる. PVAにAPEを合併した場合は, 抗凝固療法のみでは高頻度(80%)に塞栓症を再発するという報告もあり, 積極的な手術適応と考えるのが一般的である. 今回我々は繰り返す失神を主訴に受診され, APEを合併したPVAと診断し, 下大静...
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Published in | Shinzo Vol. 55; no. 7; pp. 755 - 758 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.07.2023
日本心臓財団・日本循環器学会 Japan Heart Foundation |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.55.755 |
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Summary: | 「はじめに」急性肺血栓塞栓症(acute pulmonary thromboembolism;APE)が突然死の原因となり得ることは広く認知されているものの, その早期診断はときに困難を伴う. 一方, 膝窩静脈の静脈性血管瘤(popliteal venous aneurysm;PVA)はいまだその成因は明らかにされていない稀な疾患で, 致死的なAPEの原因となる. PVAにAPEを合併した場合は, 抗凝固療法のみでは高頻度(80%)に塞栓症を再発するという報告もあり, 積極的な手術適応と考えるのが一般的である. 今回我々は繰り返す失神を主訴に受診され, APEを合併したPVAと診断し, 下大静脈フィルター(IVC filter), 組織型プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)および直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)にて急性期治療を行った後, 待機的に外科的縫縮術を施行した症例を経験したため, ここに報告する. 「症例」患者:76歳, 女性. 主訴:繰り返す失神発作. 現病歴:6日前に朝起床後に一過性に意識消失あり. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.55.755 |