「レーザー医療機器の開発について~平成と令和~」の特集によせて

基盤技術の発展に伴い新しい適応の医療機器が日々開発されています. 医薬品とは異なる特性をもつ医療機器をいかに効率よく医療現場に提供するかが, 医療機器開発で重要な課題になります. また, 医療機器は使用者の使い方が有効性や安全性に影響するという点で, 開発の段階から市販後まで, 医療現場との連携は欠かせません. レーザー医療機器においても, 過去をさかのぼると, 1980年当時は, いわゆるレーザーメスとしての使用であったものが, 近年では治療としてのレーザー使用が活発に研究されています. 厚生労働省は, 「レーザー手術装置の治験データの添付免除について」(平成3年8月6日付審査実務連絡91-...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 41; no. 1; p. 30
Main Author 鈴木, 由香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 15.04.2020
日本レーザー医学会
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm.jslsm-41_0006

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Summary:基盤技術の発展に伴い新しい適応の医療機器が日々開発されています. 医薬品とは異なる特性をもつ医療機器をいかに効率よく医療現場に提供するかが, 医療機器開発で重要な課題になります. また, 医療機器は使用者の使い方が有効性や安全性に影響するという点で, 開発の段階から市販後まで, 医療現場との連携は欠かせません. レーザー医療機器においても, 過去をさかのぼると, 1980年当時は, いわゆるレーザーメスとしての使用であったものが, 近年では治療としてのレーザー使用が活発に研究されています. 厚生労働省は, 「レーザー手術装置の治験データの添付免除について」(平成3年8月6日付審査実務連絡91-7号, 平成20年11月28日改定)を発出しました. 本通知は, 用途を「切開, 止血, 凝固及び蒸散」に限った場合において, 仕様や性能が既承認品の範囲であれば, 新たな治験の実施を免除するものです. しかし, 既承認品の範囲外では, 本通知は適用されず, 新たな製品の開発には手当はされません. この課題に取り組むために, 日本レーザー医学会に設置されたPMDA連絡協議会での産官学の関係者との議論, 及び日本レーザー医学会の協力のもと, 専門家との複数の意見交換(PMDAにおける専門協議)を経て, 「レーザ医療機器の承認申請の取り扱いについて」(平成28年6月29日 薬生機審発0629第4号)が発出されました. 本通知は, 治療機器としての用途を踏まえ, 治験免除から脱却し, 新しいレーザー医療機器の開発にまで応用可能な基本的考え方を示したものになります. 本通知が発出されて4年が経過し, 時代も平成から令和となったこの機会に, 日本におけるレーザー医療機器の開発と現時点での課題を見つめなおすことは意義が大きいと考え, 本特集を企画しました. 今回は, 産官学の立場から, 本通知のレーザー医療機器開発への影響, 非臨床による評価の考え方, 現在の課題, 今後進むべき方向性等を, 大所高所からまとめていただいております. 本特集が, 開発及び医療現場の先生方にとって有益なものとなり, レーザー医療機器開発促進に貢献できることを祈念しております. なお, 日本レーザー医学会は, PMDA連絡協議会を通じて, 産官学の連携を図っております. 関係者を一同に会した活動は, 大変意義深いものであり, 今後も継続した活動が望まれます. 皆様のご理解を賜りたくお願い申し上げます.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.jslsm-41_0006