急性下壁心筋梗塞に併発した心室中隔穿孔に対する緊急パッチ閉鎖術後, 心室瘤が出現し瘤切除術を施行した1例

75歳, 男性, 主訴は呼吸困難. 下壁誘導でST上昇, 汎収縮期雑音あり, 心エコーで下壁の壁運動低下および後中隔穿孔を認め, 急性下壁心筋梗塞, 心室中隔穿孔の診断で緊急心臓カテーテル検査を施行した. 右冠動脈#4AVの完全閉塞あり, 右心房69.1% → 右心室91.3%のO2 step upを認め, Qp/Qs 4.6, 左右シャント率76.8%であった. 心原性ショックのため, 同日緊急で後中隔穿孔に対し経右室アプローチにてパッチ閉鎖術を施行した. 術後経過は良好であり第60病日に独歩退院した. 退院前に左室下壁に心室瘤の出現を認めたが, 症状なく経過観察とした. 術後18カ月に呼吸...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 2; pp. 223 - 229
Main Authors 小林, 一士, 梅澤, 滋男, 石川, 智啓, 李, 基鎬, 大西, 祐子, 丹羽, 明博, 大西, 隆行, 高橋, 政夫, 畠田, 和嘉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.223

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Summary:75歳, 男性, 主訴は呼吸困難. 下壁誘導でST上昇, 汎収縮期雑音あり, 心エコーで下壁の壁運動低下および後中隔穿孔を認め, 急性下壁心筋梗塞, 心室中隔穿孔の診断で緊急心臓カテーテル検査を施行した. 右冠動脈#4AVの完全閉塞あり, 右心房69.1% → 右心室91.3%のO2 step upを認め, Qp/Qs 4.6, 左右シャント率76.8%であった. 心原性ショックのため, 同日緊急で後中隔穿孔に対し経右室アプローチにてパッチ閉鎖術を施行した. 術後経過は良好であり第60病日に独歩退院した. 退院前に左室下壁に心室瘤の出現を認めたが, 症状なく経過観察とした. 術後18カ月に呼吸困難, 心窩部圧迫感を訴え, 心臓MRIで心室瘤の拡大と瘤内血栓を認めた. 手術適応と判断し, 経左室下壁で心室瘤切除, 左室形成術を施行した. 経過良好で術後38日目に独歩退院した. 心室中隔穿孔閉鎖術後, 心室瘤を併発した稀な症例であり, 文献的考察も含め報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.223