塩基配列により同定されたTrichophyton tonsuransによるケルスス禿瘡の症例

Trichophyton tonsuransは白癬を引き起こす皮膚糸状菌の一種であり,本邦でも2000年以降に柔道やレスリング等の格闘技の選手に確認されている.今回我々は,柔道教室に通う8歳男児の頭部膿瘍から皮膚糸状菌を分離し,スライドカルチャーによる形態学的特徴からTrichophyton属と判定した.種を同定するため,リボゾームRNAをコードするITS領域とD1/D2領域をPCRで増幅し,その塩基配列を調べた.得られた塩基配列をDNAデータベース(DDBJ)で検索した結果,2つの領域とも最も高い相同性を示したT. tonsuransと同定した.遺伝子解析による真菌等の種の同定方法として,異...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 63; no. 2; pp. 216 - 220
Main Authors 山田, 明輝, 天野, 正宏, 佐伯, 裕二, 梅木, 一美, 武田, 展幸, 瀬戸山, 充, 岡山, 昭彦, 橋倉, 悠輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.03.2014
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
Subjects
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.13-51

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Summary:Trichophyton tonsuransは白癬を引き起こす皮膚糸状菌の一種であり,本邦でも2000年以降に柔道やレスリング等の格闘技の選手に確認されている.今回我々は,柔道教室に通う8歳男児の頭部膿瘍から皮膚糸状菌を分離し,スライドカルチャーによる形態学的特徴からTrichophyton属と判定した.種を同定するため,リボゾームRNAをコードするITS領域とD1/D2領域をPCRで増幅し,その塩基配列を調べた.得られた塩基配列をDNAデータベース(DDBJ)で検索した結果,2つの領域とも最も高い相同性を示したT. tonsuransと同定した.遺伝子解析による真菌等の種の同定方法として,異なる領域から得られる相同性の結果を相互に確認する手順を加えることで,より信頼性の高い種の同定が行えることが示唆され,適切な抗菌薬の選択や治療に寄与できるものと考えられた.
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.13-51