肝癌克服のための内科的治療

肝癌は現在我が国の癌のなかで男性では3位, 女性では7位に位置する頻度の高い癌である. 肝癌には他の癌にない際だった特徴がある. それは他の癌, 例えば肺癌や喉頭癌, 舌癌の場合は喫煙者が発症しやすいなど罹患しやすい集団は存在するとしても, 誰もが発癌する可能性を有しているのに対し, 肝癌の場合はB型肝炎ウィルス(HBV)キャリア, C型肝炎ウィルス(HCV)キャリアの他には, 以前我が国で黄変米中毒事件の原因となったアフラトキシンB1の摂取(アフリカは現在でもこれが多い)の他には鉄の沈着するヘモクロマトージスを除いて発癌しない点にある. つまり肝臓は, 上記の素因がない限り, まず発癌しない...

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Published inJournal of Microwave Surgery Vol. 22; pp. 23 - 26
Main Author 与芝, 真彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 Microwave Surgery研究会 2004
メディカルレビュー社
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ISSN0917-7728
1882-210X
DOI10.3380/jmicrowavesurg.22.23

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Summary:肝癌は現在我が国の癌のなかで男性では3位, 女性では7位に位置する頻度の高い癌である. 肝癌には他の癌にない際だった特徴がある. それは他の癌, 例えば肺癌や喉頭癌, 舌癌の場合は喫煙者が発症しやすいなど罹患しやすい集団は存在するとしても, 誰もが発癌する可能性を有しているのに対し, 肝癌の場合はB型肝炎ウィルス(HBV)キャリア, C型肝炎ウィルス(HCV)キャリアの他には, 以前我が国で黄変米中毒事件の原因となったアフラトキシンB1の摂取(アフリカは現在でもこれが多い)の他には鉄の沈着するヘモクロマトージスを除いて発癌しない点にある. つまり肝臓は, 上記の素因がない限り, まず発癌しないという特殊な臓器である. 更にHCV感染に典型的なように, 例外的症例を除けば肝病変が進行し, 肝硬変かそれに近い状態にならなければ発癌しないこともわかっている. 現在は肝癌リスクの高い患者を中心に腫瘍マーカーや画像診断を頻繁に繰り返して癌を早期に発見し, 切除療法, 凝固療法, 焼灼療法を行うことが肝癌克服の主流となっているが, この方法では原発巣は治療できたとしても, 肝癌は異所性再発の多い疾患であるので, それにより命を縮めることは防止し得ない.
ISSN:0917-7728
1882-210X
DOI:10.3380/jmicrowavesurg.22.23