肺移植周術期の感染症

「はじめに」肺移植は末期呼吸不全に対する最後に残された治療法であるが, 術後早期の合併症も多く, 周術期管理が難しい. 特に肺という臓器の性質上, 呼吸によりさまざまな病原微生物を外気とともに取り込むため, 容易に肺炎を発症する. 一方, そのため特殊な免疫機構が発達し, 臓器生着や免疫寛容をより難しくしているため, 免疫抑制と感染制御のバランスが肺移植の成績を大きく左右する. この章では, 肺移植周術期の感染症について解説する. 「基本的事項」周術期感染症は大きく分けて, ドナーからの病原体の持ち込み, レシピエントに潜在する病原体の再活性化, 移植後新規感染などにより発症する. 特に移植後...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 53; no. 4-5; pp. 277 - 282
Main Authors 舟木, 壮一郎, 大瀬, 尚子, 狩野, 孝, 新谷, 康, 神﨑, 隆, 南, 正人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2018
日本移植学会
The Japan Society for Transplantation
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.53.4-5_277

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Summary:「はじめに」肺移植は末期呼吸不全に対する最後に残された治療法であるが, 術後早期の合併症も多く, 周術期管理が難しい. 特に肺という臓器の性質上, 呼吸によりさまざまな病原微生物を外気とともに取り込むため, 容易に肺炎を発症する. 一方, そのため特殊な免疫機構が発達し, 臓器生着や免疫寛容をより難しくしているため, 免疫抑制と感染制御のバランスが肺移植の成績を大きく左右する. この章では, 肺移植周術期の感染症について解説する. 「基本的事項」周術期感染症は大きく分けて, ドナーからの病原体の持ち込み, レシピエントに潜在する病原体の再活性化, 移植後新規感染などにより発症する. 特に移植後肺炎が多く, 脳死状態では容易に肺炎を来すため, ドナー肺には何らかの病原体があることを前提に移植周術期の感染治療にあたる必要がある.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.53.4-5_277