介護療養型病院における身体拘束廃止への基本指針

介護保険制度が導入されてから、介護療養型施設での身体拘束は原則的に禁止となったが、現場では身体拘束そのものの解釈を含めいまだ混乱している。平成13年3月に厚生労働省でまとめられた「身体拘束ゼロへの手引き」によって、身体拘束の具体的行為は明確となったが、その基本的な概念は不明瞭なままである。当院は静岡県の一介護療養型医療施設であるが、平成13年4月に院内に「身体拘束をしない委員会」を設立し、今回、当院独自の基本指針 (ガイドライン) を作り上げた。本指針の特徴は、身体拘束の各種行為を5段階に評価分けした点にある。建物・施設レベルでの拘束 (第1段階) には異論があるかもしれないが、身体拘束を全廃...

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Published in医療マネジメント学会雑誌 Vol. 4; no. 4; pp. 529 - 533
Main Authors 岡崎, 博, 小林, 利彦, 川勝, 純夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会 2004
日本医療マネジメント学会
Subjects
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ISSN1345-6903
1884-6793
DOI10.11191/jhm2000.4.529

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Summary:介護保険制度が導入されてから、介護療養型施設での身体拘束は原則的に禁止となったが、現場では身体拘束そのものの解釈を含めいまだ混乱している。平成13年3月に厚生労働省でまとめられた「身体拘束ゼロへの手引き」によって、身体拘束の具体的行為は明確となったが、その基本的な概念は不明瞭なままである。当院は静岡県の一介護療養型医療施設であるが、平成13年4月に院内に「身体拘束をしない委員会」を設立し、今回、当院独自の基本指針 (ガイドライン) を作り上げた。本指針の特徴は、身体拘束の各種行為を5段階に評価分けした点にある。建物・施設レベルでの拘束 (第1段階) には異論があるかもしれないが、身体拘束を全廃できなくても、より低い段階への移行を目指すことを可能にした。また、本指針では、入院時の転倒・転落リスクの評価、入院後の経過観察と個別的な対策、身体拘束実施時の手続きと定期的な見直し、そして居住環境、福祉機器といったハード面の改善にまで言及した。現在、身体拘束の廃止は介護保険施設にて問題視されているが、将来的には急性期病院にも波及する医療マネージメントと考えられ、早急な対応を検討する必要があると思われた。
ISSN:1345-6903
1884-6793
DOI:10.11191/jhm2000.4.529