腸管上皮オルガノイドを用いた細胞移植療法の展望

「はじめに」損傷臓器に対する医療として臓器移植が行われるようになって久しいが, 消化管領域における臓器移植医療はfirst lineの治療方法とは言い難い. 移植手術そのものの技術的ハードルが高いことに加え, 適応疾患が短腸症候群, 機能的小腸不全に限られること, ドナー不足や周術期管理の困難さなどから実施件数は伸び悩み, 国内では年間0~3件程度の実施にとどまり, 1995~2015年の間わずか13件である. 臓器移植に代わる再生医療として近年期待されているのが細胞シートやオルガノイドを用いた移植療法である. これは細胞が臓器特異的機能を発揮するために必要な一定の多細胞構造をin vitro...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 52; no. 4-5; pp. 332 - 338
Main Authors 岡本, 隆一, 石橋, 史明, 渡辺, 守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2017
日本移植学会
The Japan Society for Transplantation
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.52.4-5_332

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Summary:「はじめに」損傷臓器に対する医療として臓器移植が行われるようになって久しいが, 消化管領域における臓器移植医療はfirst lineの治療方法とは言い難い. 移植手術そのものの技術的ハードルが高いことに加え, 適応疾患が短腸症候群, 機能的小腸不全に限られること, ドナー不足や周術期管理の困難さなどから実施件数は伸び悩み, 国内では年間0~3件程度の実施にとどまり, 1995~2015年の間わずか13件である. 臓器移植に代わる再生医療として近年期待されているのが細胞シートやオルガノイドを用いた移植療法である. これは細胞が臓器特異的機能を発揮するために必要な一定の多細胞構造をin vitroで再構築し, これを対象部位に移植するものであるが, 体外培養によりレシピエントの細胞を増幅して移植のリソースにできるためドナー不足という問題が生じにくいこと, 再治療等も可能なことなど臓器移植では得られないいくつかの利点があると考えられている.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.52.4-5_332