某重症心身障害児・者施設の歯周病罹患状況について

われわれが歯科管理を開始して36年が経過した重症心身障害児・者施設においては入所者の高齢化が進んでいる.そこでこれまでの管理の妥当性を検証すると同時に,今後の管理の在り方を模索する目的で施設利用者の歯周病罹患状況を調査した.その結果,以下のような知見を得た.1.対象者は大島の分類1~4の77名であり,平均年齢は43.4±10.1歳で,その現在歯数は25.5±4.4本,1人平均DMF歯数は7.6±4.6本,歯周ポケット深さの平均値は3.4±0.5mmであった.2.男女間でのすべての調査項目において統計学的有意差は認められなかった.3.超・準超重症者群と超・準超重症者を除いた重症者群の比較では,超...

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Published in日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 38; no. 4; pp. 471 - 477
Main Authors 白石, 千秋, 中嶋, 真理子, 久保田, 智彦, 上田, 雅子, 緒方, 克也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本障害者歯科学会 2017
日本障害者歯科学会
The Japanese Society for Disability and Oral Health
Subjects
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ISSN0913-1663
2188-9708
DOI10.14958/jjsdh.38.471

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Summary:われわれが歯科管理を開始して36年が経過した重症心身障害児・者施設においては入所者の高齢化が進んでいる.そこでこれまでの管理の妥当性を検証すると同時に,今後の管理の在り方を模索する目的で施設利用者の歯周病罹患状況を調査した.その結果,以下のような知見を得た.1.対象者は大島の分類1~4の77名であり,平均年齢は43.4±10.1歳で,その現在歯数は25.5±4.4本,1人平均DMF歯数は7.6±4.6本,歯周ポケット深さの平均値は3.4±0.5mmであった.2.男女間でのすべての調査項目において統計学的有意差は認められなかった.3.超・準超重症者群と超・準超重症者を除いた重症者群の比較では,超・準超重症者群の1/2以上の骨吸収者率が有意に小さい値であった.4.経管栄養者群と経口摂取者群間の比較では各項目に統計学的有意差は認められなかった.5.歯肉増殖者群と非歯肉増殖者群では歯肉増殖者群のPPD平均値が有意に小さかった.6.年代別群の比較において,BOP歯率,PPD平均値,歯肉増殖の有無別で有意差は認められなかったが,1人平均現在歯数では各年代群間に有意差を認め(p=0.002),30~39歳群,40~49歳群に比べ60~79歳群が有意に少なかった.また,50歳以上の群で歯根長の1/2以上の骨吸収のある者の割合が高かった.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.38.471