胃液培養陽性で暫定診断した肺Mycobacterium avium complex症の臨床的検討

〔目的〕肺結核診断における胃液培養の意義は確立しているが,肺Mycobacterium avium complex(MAC)症の診断における有用性は不明である。本研究は肺MAC症の診断における胃液培養の意義を明らかにすることを目的とした。〔対象・方法〕胃液を喀痰と同等の検体として扱い暫定診断した肺MAC症77例を後ろ向きに調査し,喀痰診断群308例と比較し,胃液検査の妥当性・有用性を検討した。〔結果〕胃液診断群と喀痰診断群で,自覚症状・臨床検査値・病型などに有意差は認めなかったが,胃液診断群は呼吸器基礎疾患のない例が多く(26.0% vs. 46.8%),喀痰採取できない例が多いことが示唆され...

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Published in結核 Vol. 89; no. 4; pp. 489 - 493
Main Authors 小倉, 高志, 関根, 朗雅, 北村, 英也, 水堂, 祐広, 高佐, 顕之, 萩原, 恵里, 笹野, 元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 2014
日本結核病学会
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku.89.489

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Summary:〔目的〕肺結核診断における胃液培養の意義は確立しているが,肺Mycobacterium avium complex(MAC)症の診断における有用性は不明である。本研究は肺MAC症の診断における胃液培養の意義を明らかにすることを目的とした。〔対象・方法〕胃液を喀痰と同等の検体として扱い暫定診断した肺MAC症77例を後ろ向きに調査し,喀痰診断群308例と比較し,胃液検査の妥当性・有用性を検討した。〔結果〕胃液診断群と喀痰診断群で,自覚症状・臨床検査値・病型などに有意差は認めなかったが,胃液診断群は呼吸器基礎疾患のない例が多く(26.0% vs. 46.8%),喀痰採取できない例が多いことが示唆された。治療介入せず経過観察した114例では,喀痰診断群に比して胃液診断群に自然軽快する例が少数ながらも有意に多かったが,治療介入271例では,胃液診断群と喀痰診断群で臨床症状と画像所見の経過に有意差は認めなかった。胃液診断群のうち追跡精査した47例中34例(72%)で観察期間中に確定診断が得られた。34例の確定診断群と暫定診断群では,臨床背景・臨床経過・画像所見の経過に有意差は認めなかった。〔結論〕胃液検査は簡便で,肺MAC症の診断に有用であると考えられた。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku.89.489