原発不明腫瘍塞栓により両側膝窩動脈急性閉塞を来した1例

腫瘍塞栓とは血管内に進展,転移した腫瘍が遊離することで肺塞栓,脳梗塞,末梢動脈閉塞などを引き起こす病態である.今回われわれは両下肢の腫瘍塞栓による急性動脈閉塞を契機に食道腫瘍性病変の発見に至った症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は68歳男性.左下肢痛が次第に増強するため当院受診.両側膝窩動脈以下の拍動は触知せず,冷感および安静時痛を認めた.造影CT検査では両側膝窩動脈の閉塞を認め,同日緊急手術を施行した.血栓除去および自家静脈によるパッチ形成を行い,腫瘍塞栓を疑い病理に提出した.病理結果は上皮系悪性腫瘍を疑うものであった.術後2日目に腹痛,血圧低下,貧血進行のため上部消化管出...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 21; no. 1; pp. 47 - 50
Main Authors 滝内, 宏樹, 近沢, 元太, 西川, 幸作, 杭ノ瀬, 昌彦, 石田, 敦久, 飯田, 淳義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2012
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.21.47

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Summary:腫瘍塞栓とは血管内に進展,転移した腫瘍が遊離することで肺塞栓,脳梗塞,末梢動脈閉塞などを引き起こす病態である.今回われわれは両下肢の腫瘍塞栓による急性動脈閉塞を契機に食道腫瘍性病変の発見に至った症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は68歳男性.左下肢痛が次第に増強するため当院受診.両側膝窩動脈以下の拍動は触知せず,冷感および安静時痛を認めた.造影CT検査では両側膝窩動脈の閉塞を認め,同日緊急手術を施行した.血栓除去および自家静脈によるパッチ形成を行い,腫瘍塞栓を疑い病理に提出した.病理結果は上皮系悪性腫瘍を疑うものであった.術後2日目に腹痛,血圧低下,貧血進行のため上部消化管出血を疑い,緊急内視鏡検査を施行した.胸部食道および食道胃接合部に腫瘍性病変を認め,生検を行った.下肢腫瘍塞栓と病理結果は完全に一致しなかったが,原発巣検索ならびに食道腫瘍精査加療目的に転院となった.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.21.47