僧帽弁後尖またはその腱索より発生した粘液腫の1例

症例は60代男性.高血圧,糖尿病で近医加療中であった.症状はないが動脈硬化のリスク因子があるため,心機能評価目的で当院受診.経胸壁心エコーでは僧帽弁後尖に約18 mm大の高輝度を示す浮動性の構造物を認めた.心臓CT,心臓MRIも合わせた所見より血栓や疣贅は否定的で,心臓腫瘍と考えた.無症状ではあるが腫瘍は可動性を有し,塞栓症のリスクが高いため,手術療法を選択した.肉眼所見では僧帽弁後尖の一部とその腱索に付着した桑実状の腫瘍を認め,病理診断は粘液腫であった.心臓の原発性腫瘍は剖検例中0.017〜0.33%と非常に稀で,僧帽弁から発生する腫瘍はさらに希少である.僧帽弁後尖とその腱索に付着する粘液腫...

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Published inShinzo Vol. 49; no. 1; pp. 51 - 56
Main Authors 坂田, 鋼治, 平野, 秀治, 阪口, 修平, 賴田, 顕辞, 漆間, 雅人, 古川, 貢之, 矢野, 光洋, 山本, 雄一郎, 中村, 栄作, 竹永, 誠, 長友, 美達
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.01.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.51

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Summary:症例は60代男性.高血圧,糖尿病で近医加療中であった.症状はないが動脈硬化のリスク因子があるため,心機能評価目的で当院受診.経胸壁心エコーでは僧帽弁後尖に約18 mm大の高輝度を示す浮動性の構造物を認めた.心臓CT,心臓MRIも合わせた所見より血栓や疣贅は否定的で,心臓腫瘍と考えた.無症状ではあるが腫瘍は可動性を有し,塞栓症のリスクが高いため,手術療法を選択した.肉眼所見では僧帽弁後尖の一部とその腱索に付着した桑実状の腫瘍を認め,病理診断は粘液腫であった.心臓の原発性腫瘍は剖検例中0.017〜0.33%と非常に稀で,僧帽弁から発生する腫瘍はさらに希少である.僧帽弁後尖とその腱索に付着する粘液腫を経験したので,心臓CTやMRIの所見と文献的考察を含め報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.51