大学病院スペシャルニーズ歯科センターに関わる,地域の障害者の歯科受診動態調査

近年,医療の形態が医療機関完結型から地域完結型へ変化していることを踏まえ,当センターでは地域の障害者・児の生涯にわたる口腔のQOL向上を目的とした地域連携クリニカルパスの研究を進めている.2006年度から2013年度の初診患者を対象とし,診療録をもとに地域の障害者の歯科受診動態について調査したので報告する. 対象患者は697人であった.主障害名は自閉症スペクトラム障害が最も多かった.居住地は岡山市内が295人(42.3%)で最も多かったが,1989年度から2006年度の調査と比較すると岡山市内に居住している患者の割合は減少しており,岡山市以外からの患者の割合が増加していた.受診経路は紹介状を持...

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Published in日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 36; no. 2; pp. 149 - 155
Main Authors 神田, ゆう子, 上原, 進, 田尻, 絢子, 森, 貴幸, 孫田, 哲郎, 村田, 尚道, 野島, 靖子, 関, 愛子, 前川, 享子, 角谷, 真一, 江草, 正彦, 細坪, 充裕, 東, 倫子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本障害者歯科学会 2015
日本障害者歯科学会
The Japanese Society for Disability and Oral Health
Subjects
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ISSN0913-1663
2188-9708
DOI10.14958/jjsdh.36.149

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Summary:近年,医療の形態が医療機関完結型から地域完結型へ変化していることを踏まえ,当センターでは地域の障害者・児の生涯にわたる口腔のQOL向上を目的とした地域連携クリニカルパスの研究を進めている.2006年度から2013年度の初診患者を対象とし,診療録をもとに地域の障害者の歯科受診動態について調査したので報告する. 対象患者は697人であった.主障害名は自閉症スペクトラム障害が最も多かった.居住地は岡山市内が295人(42.3%)で最も多かったが,1989年度から2006年度の調査と比較すると岡山市内に居住している患者の割合は減少しており,岡山市以外からの患者の割合が増加していた.受診経路は紹介状を持って受診した者が79.9%と割合が増加していた.来院の目的は紹介状を持つ者では歯科治療の実施が最も多く70.4%,紹介状を持たない者では検診・口腔内管理が27.1%であった.治療実施方法は紹介状を持つ者では薬物による管理下での治療が67.3%で,紹介状を持たない者の39.0%よりも有意に多かった. 主障害名で自閉症スペクトラム障害が多いことや,歯科治療の実施を目的とした来院が多かったのは,治療への適応が得られなかったことなどを理由として患者が紹介されたことを反映していると推察された. 岡山市以外からの患者や紹介状を持つ患者の割合が増加したのは,地域の歯科医院との連携により円滑な紹介関係ができ始めていることが要因として挙げられた. 今後も,さらなる地域との連携作りや医療機関・患者へ向けた情報発信を行う必要があると考える.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.36.149