高速凝固採血管による副甲状腺ホルモン測定値の減少

副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone; PTH)測定では,血清および血漿を検体として用いる。血清を検体とした場合,EDTA-2Na血漿と比べて,測定値が低下する事例を経験したため,その原因を検索した。10名の健常成人から採血した検体を使用し,(1)採血管の種類,(2)採血管に添加された薬剤,(3)サンプルカップへの移し替え,(4)検体とサンプルチューブの接触面積,および(5)サンプルチューブの材質がwhole PTH測定に与える影響を解析した。高速凝固採血管を使用すると,他の採血管を使用した場合と比較して,whole PTH測定値は有意に低くなり,またトロンビンは,濃度依存...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 66; no. 5; pp. 508 - 515
Main Authors 岡田, 健, 大塚, 文男, 糸島, 浩一, 荒尾, 雄二郎, 三宅, 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.09.2017
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.17-6

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Summary:副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone; PTH)測定では,血清および血漿を検体として用いる。血清を検体とした場合,EDTA-2Na血漿と比べて,測定値が低下する事例を経験したため,その原因を検索した。10名の健常成人から採血した検体を使用し,(1)採血管の種類,(2)採血管に添加された薬剤,(3)サンプルカップへの移し替え,(4)検体とサンプルチューブの接触面積,および(5)サンプルチューブの材質がwhole PTH測定に与える影響を解析した。高速凝固採血管を使用すると,他の採血管を使用した場合と比較して,whole PTH測定値は有意に低くなり,またトロンビンは,濃度依存的にwhole PTH測定値を低下させたため,高速凝固採血管に添加されているトロンビンによってwhole PTH測定値が低下しているものと考えられた。サンプルカップへの検体移し替えを行うとwhole PTH測定値は有意に低下し,さらに,サンプルチューブの接触面積とwhole PTH測定値との間には負の相関が認められた。さらにwhole PTH測定値の低下率はサンプルチューブの材質により異なり,また,血清とEDTA-2Na血漿では,同じ材質のサンプルチューブに対する低下率に相違が認められた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.17-6