肝細胞癌における熱凝固療法の適応と成績

緒言 肝細胞癌(HCC)に対する熱凝固療法にはマイクロ波凝固療法(MCT)とラジオ波焼灼術(RFA)がある. MCTは田伏克惇先生が開発し, 1979年に報告された日本発の手法であるが1), 欧米にはあまり浸透していない. 一方, RFAはイタリアで開発され, 1996年にRossiらにより報告された手法であり2), 欧米に広く普及した. RFAが日本に導入されたのは1999年であり, それ以降は日本でも急速に広まり, MCTからRFAへの変換が進行した. これは, MCTよりもRFAの方が凝固範囲が広いことが理由と思われる. すなわち, 超音波誘導下の経皮的熱凝固療法では凝固範囲の広いRFA...

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Published inJournal of Microwave Surgery Vol. 25; pp. 89 - 91
Main Authors 安田, 隆弘, 藤井, 英樹, 黒岡, 浩子, 岩井, 秀司, 小林, 佐和子, 田守, 昭博, 河田, 則文, 格谷, 洋和, 関, 守一, 榎本, 大, 武田, 正, 中山, 祐史, 森川, 浩安, 坂口, 浩樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 Microwave Surgery研究会 2007
メディカルレビュー社
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ISSN0917-7728
1882-210X
DOI10.3380/jmicrowavesurg.25.89

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Summary:緒言 肝細胞癌(HCC)に対する熱凝固療法にはマイクロ波凝固療法(MCT)とラジオ波焼灼術(RFA)がある. MCTは田伏克惇先生が開発し, 1979年に報告された日本発の手法であるが1), 欧米にはあまり浸透していない. 一方, RFAはイタリアで開発され, 1996年にRossiらにより報告された手法であり2), 欧米に広く普及した. RFAが日本に導入されたのは1999年であり, それ以降は日本でも急速に広まり, MCTからRFAへの変換が進行した. これは, MCTよりもRFAの方が凝固範囲が広いことが理由と思われる. すなわち, 超音波誘導下の経皮的熱凝固療法では凝固範囲の広いRFAの方が腫瘍遺残の可能性が低く, 安心して施行できる. 以上の経過から, 現在ではHCCに対する熱凝固療法についてはほとんどの施設でRFAが施行されている. しかしながら, MCTとRFA間の治療成績の相違はいまだに不明である. 先述したように, 超音波誘導下の経皮的治療では, 多数回の電極針穿刺が困難であるため, 凝固範囲が広いRFAの方が適している. しかしながら, 腹腔鏡下の治療や開腹アプローチの場合は穿刺回数を増やすことで, 凝固範囲を広げることが可能である.
ISSN:0917-7728
1882-210X
DOI:10.3380/jmicrowavesurg.25.89