臓器移植における補体依存性細胞傷害試験において偽陽性を示す抗CD20モノクローナル抗体の検討

臓器移植において,Rituximabはレシピエントに投薬することでB cell系の一部を枯渇化させ,一時的に抗体産生細胞への分化を抑制する働きがある。そのためドナー特異的抗体(DSA)となる新生抗体の産生抑制や,抗体関連型拒絶(ABMR)の予防および治療を目的に重要な役割を担う治療薬として使用されてきている。しかし,RituximabはDSAを検出する補体依存性細胞傷害試験(CDC-XM)のB cellに偽陽性を引き起こすことが知られている。本研究では,Rituximabの影響を回避するためMagnetic Beads,抗イディオタイプ抗体を用いた血清処理法と蛋白分解酵素を用いたB cell上...

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Published in医学検査 Vol. 72; no. 4; pp. 492 - 498
Main Authors 細羽, 恵美子, 笹野, まゆ, 髙柳, 嘉代, 江川, 裕人, 小林, 悠梨, 石田, 英樹, 三浦, ひとみ, 石塚, 敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.10.2023
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.23-14

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Summary:臓器移植において,Rituximabはレシピエントに投薬することでB cell系の一部を枯渇化させ,一時的に抗体産生細胞への分化を抑制する働きがある。そのためドナー特異的抗体(DSA)となる新生抗体の産生抑制や,抗体関連型拒絶(ABMR)の予防および治療を目的に重要な役割を担う治療薬として使用されてきている。しかし,RituximabはDSAを検出する補体依存性細胞傷害試験(CDC-XM)のB cellに偽陽性を引き起こすことが知られている。本研究では,Rituximabの影響を回避するためMagnetic Beads,抗イディオタイプ抗体を用いた血清処理法と蛋白分解酵素を用いたB cell上のCD20抗原処理法について検討を行った。Magnetic Beads,抗イディオタイプ抗体を用いた血清処理法ではRituximab 600 mg/bodyまで偽陽性を回避することができた。しかし,蛋白分解酵素によるB cell処理法では安定した結果を得ることはできなかった。CDC-XMは,ウサギ補体に反応性を示す補体依存性抗体のみ検出する方法として今なお重要視されている抗体検出法である。今後Rituximab投薬症例に有用な血清処理方法になり得ると推察される。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.23-14