Haemophilus influenzae type bによる化膿性膝関節炎および敗血症性ショックを起こしたDubowitz症候群の1症例

本邦において,Haemophilus influenzae type b(Hib)による侵襲性感染症患者は減少が顕著であり,これはHibワクチンを定期接種するよう予防接種法で定められたことが背景にある。一方で,成人におけるHib侵襲性感染症の報告は少なく不明な点が多い。今回我々は,成人男性においてHaemophilus influenzae(H. influenzae)type bによる化膿性膝関節炎および敗血症性ショックの1症例を経験した。症例は30代男性,基礎疾患としてDubowitz症候群があった。膝関節痛を自覚し整形外科を受診,左膝化膿性関節炎による敗血症性ショックを疑われ当院に紹介入...

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Published in医学検査 Vol. 70; no. 4; pp. 796 - 802
Main Authors 加藤, 愛美, 鈴木, 貴弘, 赤津, 義文, 西村, 美里, 柳田, 篤, 橋本, 英樹, 大塚, 喜人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.10.2021
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.21-14

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Summary:本邦において,Haemophilus influenzae type b(Hib)による侵襲性感染症患者は減少が顕著であり,これはHibワクチンを定期接種するよう予防接種法で定められたことが背景にある。一方で,成人におけるHib侵襲性感染症の報告は少なく不明な点が多い。今回我々は,成人男性においてHaemophilus influenzae(H. influenzae)type bによる化膿性膝関節炎および敗血症性ショックの1症例を経験した。症例は30代男性,基礎疾患としてDubowitz症候群があった。膝関節痛を自覚し整形外科を受診,左膝化膿性関節炎による敗血症性ショックを疑われ当院に紹介入院となった。血液検査では炎症反応高値,造影CTでは左膝関節液貯留を認め,抗菌薬治療を開始した。関節炎は数日で改善,蜂窩織炎はデブリドーマンを施行後に改善傾向となり入院21日目に退院した。血液培養検査および関節穿刺液よりH. influenzaeが検出され,莢膜型はtype bと判定された。本症例よりDubowitz症候群を基礎疾患にもつ場合,液性免疫の低下により重症化する可能性を考慮する必要があることが示唆された。近年,Hib侵襲性感染症患者は減少しているが,小児だけでなく,摘脾後や,液性免疫不全を呈する基礎疾患をもつグループへの有効なワクチン接種戦略を確立することは,今後の課題のひとつであると考える。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.21-14