2014年夏の我が国のデング熱流行と今後の対策
「はじめに」デング熱はデングウイルスの感染により引き起こされる蚊媒介性の急性熱性疾患であり, 突然の発熱で発症し, 発症1日前から発症後おおむね5日目までの有熱期間にはウイルス血症となる. この時期に感染者が媒介蚊に刺咬されると, その蚊はデングウイルスを取り込み, 刺咬から7日目には次の吸血以降ヒトを感染させることが可能になる(国立感染症研究所, 2015a). ヒトでの感染は約50~80%が症状のないまま経過する不顕性感染といわれている. 日本におけるデングウイルスの媒介蚊は主としてヒトスジシマカAedes albopictusであり, 岩手県盛岡市以南に広く生息しているが(国立感染症研究...
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Published in | Medical Entomology and Zoology Vol. 67; no. 1; pp. 39 - 41 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本衛生動物学会
25.03.2016
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Subjects | |
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ISSN | 0424-7086 2185-5609 |
DOI | 10.7601/mez.67.39 |
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Summary: | 「はじめに」デング熱はデングウイルスの感染により引き起こされる蚊媒介性の急性熱性疾患であり, 突然の発熱で発症し, 発症1日前から発症後おおむね5日目までの有熱期間にはウイルス血症となる. この時期に感染者が媒介蚊に刺咬されると, その蚊はデングウイルスを取り込み, 刺咬から7日目には次の吸血以降ヒトを感染させることが可能になる(国立感染症研究所, 2015a). ヒトでの感染は約50~80%が症状のないまま経過する不顕性感染といわれている. 日本におけるデングウイルスの媒介蚊は主としてヒトスジシマカAedes albopictusであり, 岩手県盛岡市以南に広く生息しているが(国立感染症研究所, 2015b), 1940年代に発生した西日本地域での流行を最後にデング熱の国内感染例は確認されていなかった. しかし, 2014年1月, ドイツ・フランクフルトから成田への直行便で2013年8月に日本を訪れた渡航者がデング熱を発症したことが報告された(Schmidt-Chanasit et al., 2014). |
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ISSN: | 0424-7086 2185-5609 |
DOI: | 10.7601/mez.67.39 |