在宅訪問における重症心身障害児の摂食機能療法の必要性
本報告は,在宅で生活する重症心身障害児(以下,重症児)への訪問歯科診療における摂食指導の必要性を明らかにすることを目的として行った. 対象は,日本歯科大学附属病院が2011年3月から,日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックが2012年10月から2014年10月までに居宅訪問した,摂食嚥下障害のある18歳以下の重症児36名である.対象者の診療録の記載から,基礎情報,訪問診療の経過,摂食機能段階について調査,分析を行った.対象者の平均年齢は3.0±2.6歳であり,初診時の栄養ルートは経管栄養が30名,経口摂取が6名であった.初診時の摂食機能不全段階としては,経口摂取準備段階の者が最も多く...
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Published in | 日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 37; no. 1; pp. 61 - 65 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本障害者歯科学会
2016
日本障害者歯科学会 The Japanese Society for Disability and Oral Health |
Subjects | |
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ISSN | 0913-1663 2188-9708 |
DOI | 10.14958/jjsdh.37.61 |
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Summary: | 本報告は,在宅で生活する重症心身障害児(以下,重症児)への訪問歯科診療における摂食指導の必要性を明らかにすることを目的として行った. 対象は,日本歯科大学附属病院が2011年3月から,日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックが2012年10月から2014年10月までに居宅訪問した,摂食嚥下障害のある18歳以下の重症児36名である.対象者の診療録の記載から,基礎情報,訪問診療の経過,摂食機能段階について調査,分析を行った.対象者の平均年齢は3.0±2.6歳であり,初診時の栄養ルートは経管栄養が30名,経口摂取が6名であった.初診時の摂食機能不全段階としては,経口摂取準備段階の者が最も多く21名であった.また,摂食機能療法の介入による効果は,期間中に機能獲得が認められ向上した者は12名であり,初診時と調査最終時の摂食機能段階の間に有意差が認められた(p<0.05).最終時には多くが訪問診療継続中であり,地域の開業歯科医師に継続診療を移行した症例は3例であり,その内容は口腔ケアであった. 在宅生活の低年齢重症児の摂食嚥下機能障害は重篤であり,経口摂取移行が困難な者が多くみられたが,経口摂取を行っていない者であっても摂食機能療法の取り組みにより口腔咽頭機能の賦活化や摂食機能獲得も期待できる.重症児に対する在宅訪問診療での摂食機能療法の充実を図るためには,訪問看護師や訪問小児科医師を中心とした多職種とのネットワーク作りが今後の課題である. |
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ISSN: | 0913-1663 2188-9708 |
DOI: | 10.14958/jjsdh.37.61 |