半定量的分類と減衰係数を併用した脂肪肝評価

目的:これまで脂肪肝の判定は,Bモード所見のみで行っていたが,Bモードによる半定量法と減衰法を併用して行うことで,脂肪肝の評価がどう変わったか検討を行った。方法:対象は当院で腹部超音波検査を行った1,169名中,減衰係数が測定できた1,039名。Bモードによる半定量法で軽度以上,減衰係数0.62 dB/cm/MHz以上を脂肪肝と判定し,Bモード所見と減衰法それぞれの方法で脂肪肝と判定された割合を調べた。また,減衰係数が測定できなかった130名を対象に,半定量分類による脂肪肝の程度ごとの割合を調べた。成績:Bモード所見と減衰法のどちらかで脂肪肝と判定された541名中,両方で脂肪肝ありと判定された...

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Published in医学検査 Vol. 72; no. 4; pp. 532 - 536
Main Authors 永井, 俊一, 菅, 明子, 森, 由美, 中鉢, 由香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.10.2023
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.22-90

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Summary:目的:これまで脂肪肝の判定は,Bモード所見のみで行っていたが,Bモードによる半定量法と減衰法を併用して行うことで,脂肪肝の評価がどう変わったか検討を行った。方法:対象は当院で腹部超音波検査を行った1,169名中,減衰係数が測定できた1,039名。Bモードによる半定量法で軽度以上,減衰係数0.62 dB/cm/MHz以上を脂肪肝と判定し,Bモード所見と減衰法それぞれの方法で脂肪肝と判定された割合を調べた。また,減衰係数が測定できなかった130名を対象に,半定量分類による脂肪肝の程度ごとの割合を調べた。成績:Bモード所見と減衰法のどちらかで脂肪肝と判定された541名中,両方で脂肪肝ありと判定されたのは53.8%,Bモード所見のみで判定されたのは28.8%,減衰法のみで判定されたのは17.4%であった。この結果より,減衰法はBモード所見のみでは判定できなかった脂肪肝を拾い上げることができた一方で,減衰法だけでは見逃される脂肪肝も多くなると考えられた。減衰係数測定不可の割合は,全対象者の11.1%で,脂肪肝が高度であるほど測定不可の割合が高く,減衰法はBモードで脂肪肝と判定に迷う例で有効であると考えられた。結論:減衰法を併用することで,Bモード所見だけでは分からなかった脂肪肝を拾い上げることにつながった。Bモード所見で中等度以上の脂肪肝は減衰法を行わなくても判定できるが,脂肪肝と軽度脂肪肝の判定の場合には,減衰法も組み合わせて判定するのが望ましいと考えられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.22-90