(1→3)-β-D-グルカン測定試薬「ファンギテック® GテストES「ニッスイ」」の基礎的検討

(1→3)β-Dグルカン(BG)は深在性真菌症の血清学的診断補助マーカーとして汎用されている。その測定において,従来用いられてきた比濁法は測定時間が長く,比色法はバッチ測定のため検体の追加測定が困難であることから,1日の測定回数に制限があった。近年,比色法のリアルタイム処理試薬である「ファンギテック® GテストES「ニッスイ」」(ニッスイBG)が開発されたことから,その有用性を評価した。併行精度,希釈直線性はともに良好な結果であった。患者血漿116例を用い,比濁法を測定原理とした「β-グルカン テスト ワコー」(ワコーBG)との相関性を解析したところ,ニッスイBGで測定値が約3倍となる結果が得...

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Published in医学検査 Vol. 70; no. 1; pp. 93 - 98
Main Authors 淺沼, 康一, 小林, 亮, 髙橋, 聡, 柳原, 希美, 韮澤, 慎也, 佐藤, 勇樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.01.2021
日本臨床衛生検査技師会
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.20-43

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Summary:(1→3)β-Dグルカン(BG)は深在性真菌症の血清学的診断補助マーカーとして汎用されている。その測定において,従来用いられてきた比濁法は測定時間が長く,比色法はバッチ測定のため検体の追加測定が困難であることから,1日の測定回数に制限があった。近年,比色法のリアルタイム処理試薬である「ファンギテック® GテストES「ニッスイ」」(ニッスイBG)が開発されたことから,その有用性を評価した。併行精度,希釈直線性はともに良好な結果であった。患者血漿116例を用い,比濁法を測定原理とした「β-グルカン テスト ワコー」(ワコーBG)との相関性を解析したところ,ニッスイBGで測定値が約3倍となる結果が得られた。両試薬のカットオフ値から,陰陽性の判定一致率を検証したところ,ニッスイBGのみ陽性の判定不一致が8例認められた。このうち3例は真菌が検出されており,ニッスイBGが体内の真菌を鋭敏に反映していることが示唆されたが,偽高値を疑う症例も認められたことから,ニッスイBGが陽性となった場合は,臨床症状や偽高値を呈する患者背景の確認に加え,BGの経時的測定による経過観察および培養検査を実施する必要性が示唆された。ニッスイBGはBGへの反応性が高く,リアルタイム処理が可能で測定時間も短いことから,日常検査に有用と考えられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.20-43