「脳神経外科領域におけるPDD」の特集によせて
5-アミノレブリン酸(5-ALA)の認可から10年を経過し, 今日では5-ALA蛍光ガイド下手術が脳神経外科領域の日常診療に根付いています. これまでの多くの使用経験から有用性や限界, また新たな課題など様々な話題が取り上げられるようになってまいりました. そこでこの度, 日本レーザー医学会誌に「脳神経外科領域におけるPDD」の特集を組ませていただくことになりました. 神経膠腫に対する一連の治療の中で, 脳神経外科医自身が患者予後に介入し得る因子として, 手術摘出率が挙げられます. 浸潤性格の強い神経膠腫では, 切除すべき範囲と切除可能な範囲, また脳機能の可逆性やその重要性など十分な吟味と迅...
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Published in | 日本レーザー医学会誌 Vol. 44; no. 2; p. 147 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
15.07.2023
日本レーザー医学会 |
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ISSN | 0288-6200 1881-1639 |
DOI | 10.2530/jslsm.jslsm-44_0033 |
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Summary: | 5-アミノレブリン酸(5-ALA)の認可から10年を経過し, 今日では5-ALA蛍光ガイド下手術が脳神経外科領域の日常診療に根付いています. これまでの多くの使用経験から有用性や限界, また新たな課題など様々な話題が取り上げられるようになってまいりました. そこでこの度, 日本レーザー医学会誌に「脳神経外科領域におけるPDD」の特集を組ませていただくことになりました. 神経膠腫に対する一連の治療の中で, 脳神経外科医自身が患者予後に介入し得る因子として, 手術摘出率が挙げられます. 浸潤性格の強い神経膠腫では, 切除すべき範囲と切除可能な範囲, また脳機能の可逆性やその重要性など十分な吟味と迅速な術中の判断が要求されます. 手術中に使用可能な画像診断装置を用いる支援やナビゲーションなどの技術は飛躍的な進歩を遂げてきましたが, 蛍光診断はリアルタイムに簡便に繰り返し行えることから特に有用性が高いものとなっております. 本特集では, 昨今のシステマティック・レビューとメタアナリシスをもとに現状と将来展望について, 脳腫瘍に対する5-ALAを用いたPDDのオーバービューを橋本直哉先生に概説いただきました. また池田直廉先生には, 蛍光ガイド下手術における機器の特性から問題点を含め多くの知見を述べていただいております. 金森政之先生からは術中蛍光所見および術前後の画像診断から, 腫瘍蛍光と蛍光ガイド下の摘出意義について詳述いただいております. さらに蛍光診断上の問題点や励起光源の重要性, 非腫瘍性病変での集積性について山本淳孝先生から, 神経膠腫以外の脳腫瘍におけるPDDの知見や腫瘍生検に至る有用性を矢木亮吉先生から解説いただいております. 近年脳腫瘍治療領域で導入が進んでおりますタラポルフィリンナトリウムを用いた光線力学療法ですが, 上月暎浩先生からはこれを用いる術中蛍光診断に関しまして使用例に基づいた有用性と問題点を整理くださっております. この特集が脳神経外科領域のみならず, 蛍光イメージングにかかわられます診療領域, またさらなる発展・深化を目指す研究者や機器開発の関係者へと幅広い方々への有益な情報となりましたら大変嬉しく思います. また臨床で多忙極める中, 快くお引き受けくださり執筆いただきました先生方に, この場を借りまして厚く御礼申し上げます. |
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ISSN: | 0288-6200 1881-1639 |
DOI: | 10.2530/jslsm.jslsm-44_0033 |