ブルネイ・ダルサラーム国における特定健康診査・特定保健指導導入の試み

  ブルネイ・ダルサラーム国(以下ブルネイ)における生活習慣病は非常に深刻化しており、速やかな対策が求められているが、未だに有効な手段が無い状態である。我が国は2008年より生活習慣病予防に特化した健康診査(特定健康診査)を開始し、その結果からメタボリックシンドロームの進展を予防するための保健指導(特定保健指導)を40~74歳の全国民を対象に行っている。この取り組みのノウハウを生かし、ブルネイで同様の特定健康診査・特定保健指導を導入することで、同国の生活習慣病予防につながると考え、2015年に導入研修を開始した。  研修は主にブルネイ側から健康政策担当者や生活習慣病対策に従事する医療関係者を日...

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Published inKokusai Hoken Iryo (Journal of International Health) Vol. 32; no. 4; pp. 243 - 248
Main Authors 鈴木, 裕美, 宮武, 伸行, 倉藤, 利早, 依田, 健志, 徳田, 雅明, 平尾, 智広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本国際保健医療学会 20.12.2017
JAPAN ASSOCIATION FOR INTERNATIONAL HEALTH
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ISSN0917-6543
DOI10.11197/jaih.32.243

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Summary:  ブルネイ・ダルサラーム国(以下ブルネイ)における生活習慣病は非常に深刻化しており、速やかな対策が求められているが、未だに有効な手段が無い状態である。我が国は2008年より生活習慣病予防に特化した健康診査(特定健康診査)を開始し、その結果からメタボリックシンドロームの進展を予防するための保健指導(特定保健指導)を40~74歳の全国民を対象に行っている。この取り組みのノウハウを生かし、ブルネイで同様の特定健康診査・特定保健指導を導入することで、同国の生活習慣病予防につながると考え、2015年に導入研修を開始した。  研修は主にブルネイ側から健康政策担当者や生活習慣病対策に従事する医療関係者を日本に招き、特定健康診査・特定保健指導に関するセミナーを開催し、概念の理解から自分達で指標を基に階層化・保健指導できるよう講習した。その後日本から指導担当者らがブルネイを訪問し、現地での導入例を見学し、今後の進展について議論した。まだ導入開始したばかりではあるが、特定健康診査に関しては独自のやり方で浸透しつつあり、また保健指導に関しても少しずつではあるが実行できているため、今後は実施者の増員と、実施のための指導者講習会が必要であると考える。これらの取り組みが成功すれば、影響はブルネイだけではなく周辺イスラム諸国(インドネシア・マレーシア)へも展開が可能になると考えられるため、今後も体制を盤石にし、協力していく必要がある。
ISSN:0917-6543
DOI:10.11197/jaih.32.243