高流量式鼻カニュラ酸素療法が誤嚥性肺炎と無気肺による CO2ナルコーシスに著効した延髄外側梗塞の1例

高流量式鼻カニュラ酸素療法は新規の酸素吸入法で,酸素化効率や装着感が良くQOLも保たれるため急速に普及している.症例は87歳女性である.延髄梗塞発症の2日後に誤嚥性肺炎と無気肺からCO2ナルコーシスに陥った.気管挿管は家族が希望せず,非侵襲的陽圧換気は頻回の喀痰吸引を要する状況であったため回避された.高流量式鼻カニュラ酸素療法開始1時間で高二酸化炭素血症が改善し,6時間後には覚醒した.1週間で通常の酸素投与へ移行した.経過中に脳梗塞拡大は認めず,リハビリ施設へ転院した.高二酸化炭素血症を伴う呼吸不全ではまずは気管挿管や非侵襲的陽圧換気が選択されるべきであるが,高流量式鼻カニュラ酸素療法には排痰...

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Published in神経治療学 Vol. 34; no. 2; pp. 117 - 120
Main Authors 寺田, 祐太, 小松, 研一, 松本, 禎之, 丸毛, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 2017
Japanese Society of Neurological Therapeutics
Subjects
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ISSN0916-8443
2189-7824
DOI10.15082/jsnt.34.2_117

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Summary:高流量式鼻カニュラ酸素療法は新規の酸素吸入法で,酸素化効率や装着感が良くQOLも保たれるため急速に普及している.症例は87歳女性である.延髄梗塞発症の2日後に誤嚥性肺炎と無気肺からCO2ナルコーシスに陥った.気管挿管は家族が希望せず,非侵襲的陽圧換気は頻回の喀痰吸引を要する状況であったため回避された.高流量式鼻カニュラ酸素療法開始1時間で高二酸化炭素血症が改善し,6時間後には覚醒した.1週間で通常の酸素投与へ移行した.経過中に脳梗塞拡大は認めず,リハビリ施設へ転院した.高二酸化炭素血症を伴う呼吸不全ではまずは気管挿管や非侵襲的陽圧換気が選択されるべきであるが,高流量式鼻カニュラ酸素療法には排痰促進などの長所もあり,患者背景から機械換気が選択されづらい症例においてはその長所と短所を理解したうえで,選択肢の一つとして検討する価値がある.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.34.2_117