心筋再生治療最前線
重症化した心筋症に対し, 心臓移植や人工心臓などいわゆる置換型治療が積極的に行われているが, 世界的にもドナー不足や合併症など課題も多い. わが国においては極端なドナー不足から, 普遍性のある医療には至っていないのが, 現状である. 最近, 心機能回復戦略として, 再生型治療の研究が盛んに行われ, 自己細胞による臨床応用が開始されている. われわれは, 温度感応性培養皿を用いた細胞シート工学の技術により, 細胞間接合を保持した細胞シート作製技術を開発し, 心筋再生治療の臨床研究を開始した. さらに, iPS 細胞を用いた心血管再生治療も期待され, iPS 細胞の樹立をきっかけとして, 世界中で...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 118; no. 9; pp. 1111 - 1117 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
2015
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.118.1111 |
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Summary: | 重症化した心筋症に対し, 心臓移植や人工心臓などいわゆる置換型治療が積極的に行われているが, 世界的にもドナー不足や合併症など課題も多い. わが国においては極端なドナー不足から, 普遍性のある医療には至っていないのが, 現状である. 最近, 心機能回復戦略として, 再生型治療の研究が盛んに行われ, 自己細胞による臨床応用が開始されている. われわれは, 温度感応性培養皿を用いた細胞シート工学の技術により, 細胞間接合を保持した細胞シート作製技術を開発し, 心筋再生治療の臨床研究を開始した. さらに, iPS 細胞を用いた心血管再生治療も期待され, iPS 細胞の樹立をきっかけとして, 世界中で幹細胞研究が活性化され, iPS 細胞を用いた心血管再生医療が現実的なものとなると思われる. さらに, 疾患別 iPS 細胞の樹立も盛んに行われるに至っており, 近い将来, 自己細胞移植や組織工学的技術を駆使することにより, 心臓移植や人工心臓治療とともに再生治療によって重症心筋症治療体系が確立されるであろう. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.118.1111 |