泌尿器癌に対する重粒子治療

重粒子治療は,優れた線量集中性と高い治療効果を併せ持つ放射線療法で,泌尿器癌の局所療法としても高い有用性が期待される.放射線医学総合研究所では,前立腺癌に対して平成7年から臨床試験を開始し,その後は先進医療に移行して,数多くの症例の治療を実施してきた.その結果,副作用と特に高リスク症例における治療効果において,良好な成果が得られている.治療期間の短期化も推進し,治療の効率化を進める一方,副作用発生率の低下にも結びつけることができた.今後の照射技術の改良によりさらなる短期化,効率化が期待される.腎癌も重粒子線の特徴を生かした治療が実践できる対象疾患であり,初期の経験をふまえて,現在は臨床試験を実...

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Published inJapanese Journal of Endourology Vol. 27; no. 2; pp. 323 - 327
Main Authors 辻, 比呂志, 野宮, 琢磨, 鎌田, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本泌尿器内視鏡学会 01.09.2014
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ISSN2186-1889
2187-4700
DOI10.11302/jsejje.27.323

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Summary:重粒子治療は,優れた線量集中性と高い治療効果を併せ持つ放射線療法で,泌尿器癌の局所療法としても高い有用性が期待される.放射線医学総合研究所では,前立腺癌に対して平成7年から臨床試験を開始し,その後は先進医療に移行して,数多くの症例の治療を実施してきた.その結果,副作用と特に高リスク症例における治療効果において,良好な成果が得られている.治療期間の短期化も推進し,治療の効率化を進める一方,副作用発生率の低下にも結びつけることができた.今後の照射技術の改良によりさらなる短期化,効率化が期待される.腎癌も重粒子線の特徴を生かした治療が実践できる対象疾患であり,初期の経験をふまえて,現在は臨床試験を実施している.特に腎摘出以外の局所療法が適応しにくいような比較的大きな腫瘍の治療において高い有用性を示す可能性があると考えており,臨床試験によってその有用性を明確にしていきたいと考えている.さらに,現在照射技術の改良が進捗しており,これまで以上に安全性が高まれば,適応も拡大して腎癌の局所療法の一つとして市民権が得られるものと考えている.
ISSN:2186-1889
2187-4700
DOI:10.11302/jsejje.27.323