電子クリニカルパスを機械的に移行する試み

本研究では、同じベンダーの電子カルテシステム(以下、電子カルテ)を運用する2つの病院間でのクリニカルパス(以下、パス)の移行と、旧電子カルテで運用していたパスを新電子カルテで利用するための更新時の移行という2つのパターンでCSVやエクセルを用いたクリニカルパスの機械的な移行を試み、その課題を整理した。 2つの病院間でのパスの移行では、A病院で作成したパスをCSVに取り出し、B病院の各種マスタのコードと合致するコードをSQL検索クエリを用いて抽出した結果、パスの基本構造やマスタコードが合致した内容の66~100%が移行できた。 一つの病院の電子カルテ更新時に移行を試みたC病院では、新電子カルテで...

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Published in日本クリニカルパス学会誌 Vol. 24; no. 2; pp. 109 - 115
Main Author 舩田, 千秋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本クリニカルパス学会 31.08.2022
日本クリニカルパス学会
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ISSN2187-6592
2436-1046
DOI10.50842/jjscp.24.2_109

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Summary:本研究では、同じベンダーの電子カルテシステム(以下、電子カルテ)を運用する2つの病院間でのクリニカルパス(以下、パス)の移行と、旧電子カルテで運用していたパスを新電子カルテで利用するための更新時の移行という2つのパターンでCSVやエクセルを用いたクリニカルパスの機械的な移行を試み、その課題を整理した。 2つの病院間でのパスの移行では、A病院で作成したパスをCSVに取り出し、B病院の各種マスタのコードと合致するコードをSQL検索クエリを用いて抽出した結果、パスの基本構造やマスタコードが合致した内容の66~100%が移行できた。 一つの病院の電子カルテ更新時に移行を試みたC病院では、新電子カルテでのパスの基本構造をもつMicrosoft Excel®で作成したフォーマットを用い、電子カルテ外からのパスの移行を試みた。移行用パスの内容は全て機械的に移行できたが、移行用パスを臨床現場で利用可能にするためには、各タスク、すなわち業務内容を詳細に設定する作業と不足するタスクを新電子カルテで直接マスタから選択し入力する必要があった。詳細設定・直接入力の追加作業後、臨床で利用可能となったパスのうち、最も利用されていた2種類のパスで検証したところ、詳細設定と直接入力した項目は約4割となっていた。なお、直接入力を必要とした項目は、検査・治療/処置・投薬の項目であった。これらのことから、機械的なパスの移行にはパスの基本構造やマスタの共通化などが重要であることが示唆された。
ISSN:2187-6592
2436-1046
DOI:10.50842/jjscp.24.2_109