手術関連クリニカルパスの抗菌薬使用適正化への取り組み
手術関連クリニカルパス(以下、パス)では感染予防目的の抗菌薬(周術期抗菌薬)が含まれるため、抗菌薬の適正使用も考慮する必要がある。長崎大学病院のパスは診療科医師と看護師で協同作成後、複数職種で構成されるパス監査委員会で監査され使用可能となる。2012年6月から周術期抗菌薬の適正化を目的として感染制御部門との連携評価を開始した。連携評価では、監査予定のパスに周術期抗菌薬が含まれていた場合、事前にパス委員薬剤師と感染制御専門薬剤師によりガイドライン、文献等をもとに評価を行い、評価結果を感染制御部門の医師へ照会し変更の是非を協議する。協議の結果、変更が必要と考えられた場合にはパス監査委員会で提案する...
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Published in | 日本クリニカルパス学会誌 Vol. 16; no. 3; pp. 249 - 252 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本クリニカルパス学会
10.10.2014
日本クリニカルパス学会 |
Subjects | |
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ISSN | 2187-6592 2436-1046 |
DOI | 10.50842/jjscp.16.3_249 |
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Summary: | 手術関連クリニカルパス(以下、パス)では感染予防目的の抗菌薬(周術期抗菌薬)が含まれるため、抗菌薬の適正使用も考慮する必要がある。長崎大学病院のパスは診療科医師と看護師で協同作成後、複数職種で構成されるパス監査委員会で監査され使用可能となる。2012年6月から周術期抗菌薬の適正化を目的として感染制御部門との連携評価を開始した。連携評価では、監査予定のパスに周術期抗菌薬が含まれていた場合、事前にパス委員薬剤師と感染制御専門薬剤師によりガイドライン、文献等をもとに評価を行い、評価結果を感染制御部門の医師へ照会し変更の是非を協議する。協議の結果、変更が必要と考えられた場合にはパス監査委員会で提案する。連携評価開始後1年間で62件のパスについて周術期抗菌薬が評価され、45.2%が不適切と判断された。不適切項目の内訳は抗菌薬種類75.0%、投与期間85.7%であった。これらの変更を診療科へ提案し、抗菌薬種類は42.9%、投与期間は29.2%が変更された。連携評価により評価したパスの45.2%において周術期抗菌薬の使用適正化が必要と判断されたが、変更受容率は39.3%であった。今後は抗菌薬変更前後でのSSI発生頻度に関する詳細な調査を行い、変更提案内容の妥当性を検討する必要がある。また変更受容率向上のため抗菌薬適正使用の周知やより積極的な働きかけが必要と考えられる。 |
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ISSN: | 2187-6592 2436-1046 |
DOI: | 10.50842/jjscp.16.3_249 |